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16 行列の簡約化と行列式

注意 4.92 (基本変形行列の行列式)   行列の行の基本変形を表す行列 $ P_{k}^{(1)}(\alpha)$, $ P_{k,l}^{(2)}$, $ P_{k,l}^{(3)}(\alpha)$ の行列式は

$\displaystyle \det\left(P_{k}^{(1)}(\alpha)\right)=\alpha\,,\quad \det\left(P_{k,l}^{(2)}\right)=-1\,,\quad \det\left(P_{k,l}^{(3)}(\alpha)\right)=1\,$ (761)

である.

問 4.93 (基本変形行列の行列式)   これを示せ.

定理 4.94 (基本変形の正則性)   $ A$ が正則であるとき,行の基本変形をして得た行列 $ B$ もまた 正則である.


(証明) 行の基本変形は $ B=P^{(\nu)}A$ ($ \nu=1,2,3$) と表される. 両辺の行列式をとると

$\displaystyle \det(B)=\det\left(P^{(\nu)}\right)\det(A)$ (762)

となる. $ A$ が正則なとき $ \det(A)\neq0$ である. $ \det(P^{(\nu)})\neq0$ であるから, $ \det(B)\neq0$ を得る. よって $ B$ も正則である.

定理 4.95 (行列の簡約化の正則性)   行列 $ A$ が正則なとき 簡約化して得た階段行列 $ B$ も正則である.


(証明) 簡約化は行の基本変形を繰り返し行う変換である. 正則な行列は正則な行列に写される. これを繰り返して得られた行列 $ B$ もまた正則である.



Kondo Koichi
Created at 2004/11/26