例 5.15 (線形変換の固有空間の具体例)
線形変換
![$ f:\mathbb{R}^2\to\mathbb{R}^2$](img2078.png)
;
![$ \vec{y}=f(\vec{x})=A\vec{x}$](img2011.png)
の固有空間を求める.
ただし,
とする.
まず,固有多項式は
である.よって
![$ g_A(\lambda)=0$](img2700.png)
より
固有値は
![$ \lambda=-2,3$](img2713.png)
である.
固有ベクトルをそれぞれ求める.
のとき
より
方程式
をみたす
を求める.
行列
を簡約化すると
となる.これより
![$ x_1-x_2=0$](img2719.png)
であるから解は
となる.ただし
![$ c$](img532.png)
は任意定数である.
よって
![$ \lambda=-2$](img2714.png)
に属する固有ベクトルは
![$ \vec{x}=c\vec{u}_1$](img2721.png)
(
![$ c\neq 0$](img751.png)
) である.
また,固有空間は固有ベクトル全体の集合に
![$ \vec{0}$](img506.png)
を
加えたものであるから,
となる.
のとき
より
方程式
をみたす
を求める.
行列
を簡約化すると
となる.これより
![$ x_1-2x_2=0$](img2727.png)
であるから解は
となる.ただし
![$ c$](img532.png)
は任意定数である.
よって
![$ \lambda=3$](img2723.png)
に属する固有ベクトルは
![$ \vec{x}=c\vec{u}_2$](img2729.png)
(
![$ c\neq 0$](img751.png)
) である.
また,固有空間は固有ベクトル全体の集合に
![$ \vec{0}$](img506.png)
を
加えたものであるから,
となる.
固有空間
の基底は
であり
となる.
固有空間
の基底は
であり
となる.
また,
より
![$ \{\vec{u_1},\vec{u}_2\}$](img2737.png)
は 1 次独立であるから,
となる.よって,
が成り立つ.
![$ \mathbb{R}^2$](img542.png)
は
![$ W(-2;f)$](img2731.png)
と
![$ W(3;f)$](img2733.png)
に直和分解される.
![$ \{\vec{u}_1,\vec{u}_2\}$](img1276.png)
は
![$ \mathbb{R}^2$](img542.png)
の基底となる.
標準基底
に関する
の
表現行列は
である.
基底
に関する
の
表現行列を求める.
,
の座標を
,
とすると,
と座標変換が得られる.
これを用いて,
線形変換
![$ \vec{y}=A\vec{x}$](img2015.png)
を座標変換すると
と表される.
よって,基底
![$ \Sigma'=\{\vec{u}_1,\vec{u}_2\}$](img2030.png)
に関する
![$ f$](img156.png)
の表現行列は
となる.
また,あらたな座標
![$ (x'_1,x'_2)_{\Sigma'}$](img1479.png)
のもとでの
![$ f$](img156.png)
は
![$ \vec{y}'=D\vec{x}'$](img2745.png)
より
と表される.