2.14 全微分と偏微分
定理 2.59 (全微分可能の必要条件) 関数が全微分可能であれば,
は偏微分可能であり,
が成り立つ.
(証明) 関数
が全微分可能であれば,
が成り立つ.軸に沿って極限をとる.
,
とする. このとき,
であるから,
が成り立つ. これは
と等価である. また,軸に沿って極限をとる.
,
とすると, 同様にして
を得る.
定理 2.60 (全微分可能の十分条件) 関数において, 偏導関数
,
が存在し, かつこれらが連続関数であれば,
は全微分可能である. (注意)逆は成り立たない.
注意 2.61 (全微分可能の十分条件) 全微分可能となる十分条件は他にもあるが, 上の定理が一番実用的である.
例 2.62 (全微分) 関数は 偏導関数
が存在し,これらは連続関数である. よっては全微分可能である. また,
の全微分は
となる. (注意)微分,
と関数
,
,
の 書く順を入れ替えてはならない. つまり,
や
は 誤った表記である.
例 2.63 (全微分) 関数は 偏導関数
が存在し,かつこれらは連続関数である. よっては全微分可能であり,
の全微分は
となる.
例 2.64 (全微分) 関数は 偏導関数
が存在し,かつこれらは原点を除き連続関数である. よっては原点を除き全微分可能であり,
の全微分は
となる. (注意)微分,
と関数
,
の 書く順を入れ替えてはならない. また,分母
の部分は微分
,
の 前から
が掛けられているという意味で あることに注意する. つまり,以下の表記はすべて誤った表記である:
例 2.65 (全微分) 関数は 偏導関数
が存在し,かつこれらは連続関数である. よっては全微分可能であり,
の全微分は
となる.
問 2.66 (全微分) 次の関数の全微分を求めよ.
Kondo Koichi
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平成19年1月23日