1 変数関数
のテイラー展開は,点
のまわりで
について
展開すると
である.
とおいて,点
のまわりで
についての
展開に書き直すと
となる.
2 変数関数
のテイラー展開では,
点
のまわりで点
についての
展開を考える.
まず,関数
を導入する.これを
のまわりでテイラー展開すると
となる.微係数を求める.
の導関数は
であるから,
を得る.これを用いると,
を得る.
定理 2.137 (テイラー展開)
関数
![$ f(x,y)$](img193.png)
が
![$ n+1$](img1073.png)
回微分可能なとき,
点
![$ (a,b)$](img246.png)
のまわりで点
![$ (x,y)=(a+h,b+k)$](img1052.png)
についての
テイラー展開(Taylor expansion)は,
である与えられる.ただし,
![$ R_{n+1}$](img1078.png)
は
剰余項(remainder)であり,
と与えられる.ただし,
![$ 0<\theta<1$](img1081.png)
である.
例 2.138 (テイラー展開)
関数
![$ f(x,y)$](img193.png)
を点
![$ (a,b)$](img246.png)
のまわりで点
![$ (a+h,b+k)$](img1082.png)
について
![$ 3$](img211.png)
次まで展開し,
![$ 4$](img402.png)
次以降を剰余項で表すと
となる.
例 2.139 (テイラー展開)
関数
![$ f(x,y)=x^2y+4y-5$](img1087.png)
を点
![$ (1,-1)$](img132.png)
のまわりで
点
![$ (x,y)$](img203.png)
についてテイラー展開する.
まず,偏導関数は
である.
![$ 4$](img402.png)
階以降の偏導関数はすべて
0 となる.
また,点
![$ (1,-1)$](img132.png)
における偏微係数は
である.これを用いるとテイラー展開は
より,
となる.
多項式のテイラー展開は,多項式を単に変形した形となる.
例 2.140 (テイラー展開)
関数
![$ f(x,y)=e^{x+2y}$](img1099.png)
を点
![$ (0,0)$](img183.png)
まわりで
点
![$ (h,k)$](img1100.png)
についてテイラー展開する.
まず,
より
となるから,
![$ 1$](img237.png)
次項までのテイラー展開は
となる.
例 2.141 (テイラー展開)
関数
![$ f(x,y)=\sin(xy)$](img1107.png)
を点
![$ (\frac{\pi}{2},1)$](img1108.png)
のまわりで
点
![$ (x,y)$](img203.png)
についてテイラー展開する.
まず,
より,
となるので,テイラー展開は
である.展開を途中で打ち切ると
![$ f(x,y)$](img193.png)
の
![$ 2$](img104.png)
次の近似式
![$ f_2(x,y)$](img1117.png)
が
と得られる.
例 2.142 (テイラー展開)
関数
![$ \displaystyle{f(x,y)=\log(1+x+y)}$](img1119.png)
の
マクローリン展開を求める.
まず,
より,
となるので,マクローリン展開は
と得られる.
Kondo Koichi
平成19年1月23日