2.43 条件付き極値問題
定理 2.197 (ラグランジュの未定乗数法) 条件のもとでの関数
の極値の候補は,
とおき,
についての連立方程式
を解くことで得られる. これを ラグランジュの未定乗数法(Lagrange multiplier method) という.
(証明) 条件
より
と
は独立ではないから, 陰関数
,
が存在する. このとき,関数
は 1 変数関数
とみなされる. ここで, 関数が点
で極値をもつとする. このとき
,
となるので,
が成り立つ.また,
(ただし,
)
(ただし,
)
を用いると 2 つの式は
☆
と 1 つの式となる. この方程式を解くことで極値の候補が定まる. しかし,この方程式のままでは解くのが難しい. 次のように式変形する. (☆)を変形して
とおく.これを(☆)へ代入して
を得る. ここでも未知変数であると考えて, 条件
とあわせて,
についての連立方程式とみなす.
とおけば, この 3 つの方程式は
,
,
と表される.
例 2.198 (条件付き極値) 条件のもとでの 関数
の 極値を求める. まず,
とおく.このとき連立方程式
を考える.これをまとめると
となる.のとき第 3 式より
であり, 第 2 式より
となる.
のとき第 3 式より
であり, 第 1 式より
となる.
のとき 第 2 式より
であり, 第 3 式より
となる.
のとき 第 1 式より
であり, 第 3 式より
となる. よって連立方程式の解は
となる.極値の候補となる点は
である. これらの点が極値であるか確認する. 条件により定まる 2 つの 陰関数をそれぞれ
,
とおく. これらの導関数は
ただし
のとき
ただし
のとき
となる. また,合成関数,
の 導関数はそれぞれ
ただし
のとき
ただし
のとき
となる.さらに微分すると
ただし
のとき
ただし
のとき
となる. よって,のとき,
となるから
を用いて
となるので,は極小値である. また,
のとき,
となるから
を用いて
となるので,は極大値である.
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例 2.199 (条件付き極値) 条件のもとでの 関数
の極値を求める. まず,
とおく.このとき連立方程式
を考える.これをまとめると
となる. 第 1 式よりとする. このとき第 3 式より
となり 実数解をもたないので不適である. 第 1 式より
とする. このとき,
である. なぜなら,
とすると
となるからである. よって第 2 式より
である.
を第 3 式に代入すると
となる.実数の範囲内の解は
である. 以上より,連立方程式の解は
(複合同順)
となる.極値の候補となる点は
である. これらの点が極値であるか確認する. 条件により定まる陰関数を
とおく. この導関数は
ただし
のとき
となる. また,合成関数の導関数は
のとき
となる.さらに微分すると
となる. よって,のとき,
となるので,は極小値であり,
のとき,
となるので,は極大値である.
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例 2.200 (条件付き極値) 条件(
) のもとでの 関数
の極値を求める. まず,
とおく.このとき連立方程式
を考える.これをまとめると
となる. 第 1 式よりを第 2 式に代入して
となる.のとき,第 1 式では
となり, 第 3 式では
となる. これは矛盾するので不適である.
のとき,
であり 第 3 式から
となる.
のとき,
であり 第 3 式から
となる. 以上より,連立方程式の解は
(複合同順)
となる.極値の候補となる点は
である. これらの点が極値であるか確認する. 条件により定まる陰関数を
とおく. この導関数は
ただし
のとき
となる. また,合成関数の導関数は
のとき
となる.さらに微分すると
となる. よって,のとき,
となるので,は極大値である.
のとき,
となるので,は極小値である.
Kondo Koichi
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平成19年1月23日