3.8 多重積分の置換積分
注意 3.44 (定積分の置換積分) 定積分において積分変数をと置き換えると
となる. ただし,,
である.
定理 3.45 (多重積分の置換積分) 多重積分
において積分変数を,
と置き換える. このとき,
となる.ただし,は ヤコビアン
であり,は
の領域
である.
(証明)
座標の点
,
は 標準基底
,
を用いて,
と表される.座標に座標変換すると,
とおける. このとき,,
は十分小さいとすると,
,
も十分小さいので, テイラー展開して
と書ける.,
であることに注意すると
が成り立つ. ここで,ベクトル
は点における
座標の基底となる.
頂点が
,
,
,
からなる長方形の微小領域の面積は
である. 一方,
座標において頂点が
,
,
,
からなる領域は平行四辺形である. 平行四辺形
の面積は,
,
より,
となる. 極限,
においてもこれが成り立つので,
を得る.
注意 3.46 (置換積分) 1 変数関数の定積分ではに絶対値はつかない. これは積分区間
に向きを考えているためである. 例えば,
のとき定積分の値の符合は反転される. 多重積分では,
に 絶対値がつく. これは面積要素に向きを考えないためである.
(a) 座標
(b) 座標
Kondo Koichi
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平成19年1月23日