5.31 直交行列の対角化
定理 5.109 (直交行列の固有値) 直交行列の固有値は絶対値がとなる複素数である.
(証明)
,
とし,
上の内積を用いて,
が成り立つ. ここで,を用いた.
,
より,
が成立する.
注意 5.110 (直交行列) 直交行列は正規行列である.
定理 5.111 (直交行列の固有ベクトル) 直交行列において, 異なる固有値に属する固有ベクトルは直交する.
(証明) 直交行列は正規行列であるので固有ベクトルは直交する. または,次のように示す.
であり, 固有値は複素平面の単位円上にあるから,
,
,
(
) とする.
上の内積を用いて,
となる. ここでを用いた.
であるから,より
を得る.
定理 5.112 (直交行列の対角化) 直交行列の 固有値を
とする. このとき,
は ユニタリー行列
を用いて
と対角化される. ただし,は
の固有ベクトルであり,
がユニタリー行列となるように選ぶとする.
定理 5.113 (直交行列の実標準形) 直交行列の 固有値を
とする. このとき,は 直交行列
を用いて
と実標準形でブロック対角化される. ただし,は
の固有ベクトルであり,
が直交行列となるように選ぶとする.
例 5.114 (直交行列の対角化の具体例) 行列
を対角化する.
より,固有値は
である.
より,固有ベクトルはそれぞれ
となる.であるから, 規格化して
,
とする. このとき
はユニタリー行列
を用いて
と対角化される. 実標準系では
となる.
Kondo Koichi
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KONDO Koichi
平成19年1月25日