6.9 有理関数の積分 〜 分母の因数分解
定義 6.43 (多項式の根) 多項式
に対して, をみたすとき, を多項式 の 根(root)という.
定義 6.44 (重根) ある複数の根が同じ値となるとき, それらの根を重根(multiple root)と呼ぶ.
定理 6.45 (多項式の根) 重根を別の根とみなすとき, 次多項式は 個の根をもつ.
定理 6.46 (因数分解) の 個の根が , , のとき は
と因数分解される.
定理 6.47 (実係数多項式の虚根) 実係数の多項式 , , が ある虚数根 をもつとき, その複素共役 も根となる.
(証明) とする.このとき,
が成り立つ.
定理 6.48 (実係数の多項式の因数分解) 実係数の多項式 , , を 実数の範囲内で因数分解すると, 1 次多項式と判別式が負の 2 次多項式で因数分解される.
(証明) 根 が実数のときは因子を とする. 根 が虚数のときは, その複素共役 も根となるので,
とすると実係数となる. この 2 次多項式の判別式は
であり負となる. ただし, , は それぞれ複素数 の実部,虚部を表し,
と表される.
例 6.49 (複素数の範囲内で因数分解)
注意 6.50 (因数分解) 奇数次の多項式は必ず一つは実根をもつ.
例 6.51 (実数の範囲内で因数分解)
例 6.52 (分母の因数分解)
平成21年6月1日