次元ユークリッド空間に
普通に導入する座標
は,
標準基底
における座標である.
座標を
とすると任意のベクトルは
☆ |
|
と表される.
一方,
基底
における座標を
とおくと,
任意のベクトルは
★ |
|
と表される.
ベクトル
は同じものであるから,
(☆), (★)より
○ |
|
が成り立つ.
は
基底
から
基底
への基底の変換行列である.
,
は基底であるから,
,
は必ず 1 次独立であり,
は正則で逆行列
が存在する.
このとき,
● |
|
が成り立つ.
(○)を座標
から座標
への座標変換という.
また,(●)を
座標
から座標
への座標変換という.
標準基底
,
は
をみたし直交するから,
座標
は直交座標である.
基底
,
の
方向余弦
は一般には 0 とはならないので,
座標
は斜交座標である.
例 2.117 (斜交座標における偏導関数)
直交座標

から斜交座標

への座標変換(○)を考える.
関数

における

,

に関する偏導関数を求める.
(○)より
であるから,
となり,
導関数の微分則を用いると
△ |
|
を得る.この関係式は
♭ |
|
とも表される.また,
ナブラ作用素
を導入すれば
と簡潔に表される.
例 2.118 (直交座標から斜交座標へのヤコビアン)
直交座標

から斜交座標

への座標変換(○)の
ヤコビアンを求める.
(♭)よりヤコビアンは
と得られる.
例 2.119 (斜交座標における偏微分作用素)
斜交座標

から直交座標

への座標変換(●)の
偏微分作用素の変換式を求める.
座標変換(○)より導出された(△)を書き直すと
△ |
|
と書ける.
関数

は任意でもよいので
関数を省略すると,
偏微分演算子の関係式
を得る.
この関係式は偏微分作用素に関する

座標から

座標への変換を表す.
点に関する座標変換(○)の逆向きの変換であることに注意する.
例 2.120 (斜交座標における偏微分作用素)
直交座標

から斜交座標

への座標変換(○)を考える.
関数

における

,

に関する偏導関数を求める.
(●)より座標変換は
であるか,導関数の微分則を用いると
を得る.この関係式は
とも表される.
この結果は(♭)の両辺に

を右から
掛けることでも得られる.
また,ナブラ作用素を導入すると
と簡潔に表される.
次に(▲)において関数

は任意で成り立つので
省略すると,
偏微分作用素の関係式
を得る.
この関係式は偏微分作用素に関する

座標から

座標への変換を表す.
点に関する座標変換(●)の逆向きの変換であることに注意する.
例 2.121 (斜交座標への座標変換)
関数

に対して関数
を考える.
この関数を斜交座標

で表す.
(▲)を代入すると
を得る.
例 2.122 (斜交座標におけるラプラシアン)
関数

に対して関数
を考える.
この関数を斜交座標

で表す.
(◎)より
となるから,
を得る.
例 2.123 (斜交座標におけるラプラシアン)
直交座標

から斜交座標

への座標変換(○)を考える.
このとき
ラプラシアン(Laplacian)または
ラプラス作用素(Laplace operator)
と呼ばれる
偏微分作用素
の

座標への変換を行う.
前例題において関数

は任意であるから,
を得る.
平成21年1月14日