1 変数関数
のテイラー展開は,点
のまわりで
について
展開すると
である.
とおいて,点
のまわりで
についての
展開に書き直すと
となる.
2 変数関数
のテイラー展開では,
点
のまわりで点
についての
展開を考える.
まず,関数
を導入する.これを
のまわりでテイラー展開すると
となる.微係数を求める.
の導関数は
であるから,
を得る.これを用いると,
を得る.
定理 2.148 (テイラー展開)
関数
![$ f(x,y)$](img228.png)
が
![$ n+1$](img1227.png)
回微分可能なとき,
点
![$ (a,b)$](img287.png)
のまわりで点
![$ (x,y)=(a+h,b+k)$](img1206.png)
についての
テイラー展開(Taylor expansion)は,
である与えられる.ただし,
![$ R_{n+1}$](img1232.png)
は
剰余項(remainder)であり,
と与えられる.ただし,
![$ 0<\theta<1$](img1235.png)
である.
注意 2.149 (テイラー展開)
テイラー展開をベクトル表記すると
と書ける.ただし,
であり,
![$ H$](img1238.png)
は
![$ f$](img226.png)
の
ヘッセ行列(Hesse matrix)という.
例 2.150 (テイラー展開)
関数
![$ f(x,y)$](img228.png)
を点
![$ (a,b)$](img287.png)
のまわりで点
![$ (a+h,b+k)$](img1239.png)
について
![$ 3$](img241.png)
次まで展開し,
![$ 4$](img454.png)
次以降を剰余項で表すと
となる.
例 2.151 (テイラー展開)
関数
![$ f(x,y)=x^2y+4y-5$](img1244.png)
を点
![$ (1,-1)$](img165.png)
のまわりで
点
![$ (x,y)$](img233.png)
についてテイラー展開する.
まず,偏導関数は
である.
![$ 4$](img454.png)
階以降の偏導関数はすべて
0 となる.
また,点
![$ (1,-1)$](img165.png)
における偏微係数は
である.これを用いるとテイラー展開は
より,
となる.
多項式のテイラー展開は,多項式を単に変形した形となる.
例 2.152 (テイラー展開)
関数
![$ f(x,y)=e^{x+2y}$](img1256.png)
を点
![$ (0,0)$](img217.png)
まわりで
点
![$ (h,k)$](img1257.png)
についてテイラー展開する.
まず,偏導関数は
である.
となるから,
![$ 1$](img268.png)
次項までのテイラー展開は
となる.
同様にして,
となるから,
![$ 2$](img104.png)
次項までのテイラー展開は
となる.
例 2.153 (テイラー展開)
関数
![$ f(x,y)=\sin(xy)$](img1270.png)
を点
![$ (\frac{\pi}{2},1)$](img1271.png)
のまわりで
点
![$ (x,y)$](img233.png)
についてテイラー展開する.
まず,
より,
となるので,テイラー展開は
である.展開を途中で打ち切ると
![$ f(x,y)$](img228.png)
の
![$ 2$](img104.png)
次の近似式
![$ f_2(x,y)$](img1280.png)
が
と得られる.
例 2.154 (テイラー展開)
関数
![$ \displaystyle{f(x,y)=\log(1+x+y)}$](img1282.png)
の
マクローリン展開を求める.
まず,
より,
となるので,マクローリン展開は
と得られる.
平成21年1月14日