4.18 正項級数に関する収束性の比較判定法
定理 4.63 (比較判定法) 二つの正項級数
を考える.数列
,
がある正の整数
に対して
をみたすとき, 次の関係が成り立つ:
- (i)
が収束するとき,
も収束する.
- (ii)
が発散するとき,
も発散する.
例 4.64 (比較判定法の具体例) 級数を考える. 数列
,
とする. このとき
をみたす. また,級数
は収束する. よって定理より級数
もまた収束する.
定理 4.65 (比較判定法) 二つの正項級数
を考える. 数列,
が
を満たし,かつ級数が収束するとき, 級数
も収束する.
例 4.66 (調和級数) 級数を 調和級数(harmonic series)という. 調和級数は発散する.
(証明)調和級数の部分和
の各項を括り直して
とおき直す. ただしであり
とおく. ここで,数列
と
をみたす数列
を
とおく. このとき,
が成り立つ.であり
であるから, 比較判定法より
を得る.以上証明終り.
例 4.67 (収束判定の具体例) 級数は
をみたす.は収束するので,
も収束する.
例 4.68 (収束判定の具体例) 級数は
をみたす.は収束するので
も収束する.
定理 4.69 (級数の収束)
例 4.70 (比較判定法の具体例) 級数
は,より,
となる.
は発散するので
も発散する.
定理 4.71 (級数の収束)に対して
例 4.72 (比較判定法) 級数は
よりをみたす.
は調和級数であり発散するので
も発散する.
例 4.73 (比較判定法) 級数は
よりをみたす.
は調和級数であり発散するので
も発散する.
平成22年6月17日