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級数(series)とは数列
の和である.
式では
と書き表す.
加法(足し算)は有限回の演算においてのみ定義されているので,
式(
)は形式的な和である.
厳密に級数を定義するには次のように考える.
まず第
項までの有限和
 |
(67) |
を考える.
これを第
部分和(the
-th partial sum)と呼ぶ.
に関する数列
 |
(68) |
を考える.
数列
の極限
 |
(69) |
が存在したとする.
このとき級数
は存在し,
その値は
 |
(70) |
で与えられると定義する.
極限
が存在するとき級数
は収束すると呼ぶ.
極限
が存在しない場合は級数
は発散すると呼ぶ.
例 1.30 (等比級数)
等比数列

の無限和を
等比級数(geometrical progression series)と呼び,
 |
(71) |
と書き表す.
等比級数は
![$\displaystyle S=\left\{ \begin{array}{ll} \displaystyle{\frac{a}{1-r}} & (\vert r\vert< 1) \\ [1em] \text{発散} & (\vert r\vert\ge 1) \end{array} \right.$](img159.png) |
(72) |
となる.
(証明)
第

部分和
 |
 |
(73) |
を考える.

のとき,
 |
(74) |
となる.
つぎに

のとき,等式
 |
(75) |
を用いると

は
 |
(76) |
と書ける.
以上より
![$\displaystyle S=\lim_{n\to\infty}S_{n}= \left\{ \begin{array}{lc} \displaystyle...
...& (-1<r<1)\\ [2ex] \displaystyle{\text{不確定}} & (r\leq-1) \end{array} \right.$](img166.png) |
(77) |
となる.
ただし無限大の符号は

の符号

で決まる.
証明終り.
問 1.31 (1を根にもつ多項式の因数分解)
以下の等式を示せ.
 |
(78) |
注意 1.32 (初項が異なる級数)
級数が
 |
(79) |
と定義されるときの値を考える.
部分和は
 |
(80) |
となるから,
結局級数は
![$\displaystyle S= \lim_{n\to\infty}S_{n}= \lim_{n\to\infty}a\frac{1-r^{n+1}}{1-r...
...(\vert r\vert<1) \\ [1ex] \text{発散} & (\vert r\vert\geq1) \end{array} \right.$](img171.png) |
(81) |
と得られる.
例 1.33 (等比級数の具体例)
または
 |
(89) |
例 1.34 (等比級数の具体例)
または
 |
(95) |
例 1.35 (等比級数の具体例)
 |
(96) |
(証明)
問 1.36
教科書(p.172)問題7-1.
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Kondo Koichi
Created at 2002/09/12