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行列の演算に関する緒性質
定理 1.1 (行列の演算の性質) 行列の演算に関して次の性質が成り立つ:ただし,
- (1)
(加法の交換則)
- (2)
,
(加法の零元)
は数の足し算の 0 と同様な振る舞い
- (3)
(加法の結合則)
- (4)
,
(乗法の単位元)
は数の掛け算の
と同様な振る舞い
- (5)
,
(乗法の零元)
は数の掛け算の 0 と同様な振る舞い
- (6)
(乗法の結合則)
- (7)
,
(分配則)
- (8)
,
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- (9)
,
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- (10)
,
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- (11)
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- (12)
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の型は互いに演算が定義されている型とする.
問 1.5 (行列の演算の性質)性質(1)-(12)を示せ.
(証明)(1), (4), (11), (12) を示す.残りは自習.(1)
を示す.まず
,
とおく. このとき
は和の定義より
(53)
となる.次にを求める.和の定義より
(54)
となる.各要素は単に数なので, 和について可換である. よってすべての要素の和の順番を入れ換えて,
(55)
となる.以上よりが示された.
(4)
を示す.まず
,
とおく. さらに
とおく.
を計算する. 積の定義とクロネッカーのデルタの定義に従って計算すると
(56) (57) (58) (59)
を得る.これよりが成り立つ. よって
を得る. 以上より
が示された.
の場合も同様に示す.
(11)
を示す. まず,
,
とおく. 和の定義より
(60)
となる.転置の操作は行と列を入れ換えるので
(61)
となる.右辺の行列を二つの行列の和に分解し, それぞれの行列の転置をとると
(62)
を得る. 以上で示された.(12)
を示す.まず
(63)
とおく. 次に
(64)
とおく. まず,
を求める. 積の定義より
(65)
となる.,
,
を用いれば
(66)
を得る.以上よりとなる. 証明終了.
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Created at 2002/07/22