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置換
定義 3.1 (文字の置換) 個の文字 から 自分自身 への 対 の写像を 文字の置換(permutation)という. 文字の置換 が写像
(236)
のとき を
(237)
と表わす. 写像 を と表わす.
例 3.1 (置換の具体例)
例 3.2 (置換の表記)
定義 3.2 (置換の積) 置換 , の積 を
(238)
または
(239)
と定義する.
例 3.3 (置換の積の具体例)
注意 3.1 (置換の積は非可換) 一般的に は成立しない.
定義 3.3 (単位置換) 全ての文字を動かさない置換
(240)
を単位置換と呼ぶ.
定義 3.4 (逆置換) 置換 に対して
(241)
を満たす置換 を の逆置換と呼び, と表わす.
定理 3.1 (逆置換) 置換
(242)
の逆置換は
(243)
で与えられる.
例 3.4 (逆置換の具体例)
定義 3.5 (巡回置換) 個の文字 のうち 個の文字 のみを と順にずらし, 残りの文字 を と動かさない 写像の置換を巡回置換という. 巡回置換は
(244) (245)
と表わされ,省略するときは
(246)
と書く.
例 3.5 (巡回置換の具体例)
定理 3.2 (置換を巡回置換の積で表わす) 任意の置換 は巡回置換 の積 で表わされる.
例 3.6 (置換を巡回置換の積で表わす計算例)
定義 3.6 (互換) 文字の巡回置換 を互換という.
定理 3.3 (巡回置換を互換の積で表わす) 任意の巡回置換は互換の積で表わされる. たとえば,その一つとして
(247)
と表わされる.
例 3.7 (置換を互換の積で表わす)
注意 3.2 互換の積で表わす方法は幾通りもある.
定義 3.7 (置換の符号) 置換 が 個の互換の積で表わされるとき の符号(sign)を
(248)
と定義する.
例 3.8 (置換の符号の具体例)
定理 3.4 (置換の符号の一意性) 置換 の符号 は 互換の積の表わし方によらず一意に定まる.
定理 3.5 (置換の符号の性質)
(249) (250) (251)
定義 3.8 (偶置換,奇置換) となる置換を 偶置換と呼び, となる置換を 奇置換と呼ぶ.
例 3.9 (偶置換,奇置換の具体例)
定義 3.9 (置換全体の集合) 文字の置換 の全体の集合を と書く.
注意 3.3 (置換全体の集合の要素の個数) 文字の置換は写像
(252)
であるから, その個数は 個の文字の順列組合わせに等しい. よって集合 の個数は である.
例 3.10 (置換全体の集合の具体例)
(253) (254) (255)
問 3.1 次の置換全体の集合 の要素全てを書き出せ. またその偶奇も述べよ.
問 3.2 に含まれる偶置換と奇置換の個数は等しい. これを示せ.
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Created at 2002/07/22