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行列のいろいろ
定義 1.2 (零行列) 成分が全て零の行列
(5)
を零行列(zero matrix)と呼ぶ. は 型の零行列を意味する.
定義 1.3 (正方行列) 行と列の数が等しい行列
(6)
を正方行列(square matrix)と呼ぶ. 行列の成分のうち左上から右下へ並んでいる成分 , , , を 対角成分(diagonal components)と呼ぶ.
定義 1.4 (対角行列) 対角成分以外の成分が全て零の正方行列
(7)
を対角行列(diagonal matrix)と呼ぶ.
定義 1.5 (単位行列) 対角成分がすべて の対角行列
(8)
を単位行列(unit matrix)と呼ぶ. の単位行列を と書き 次の単位行列と呼ぶ. 単位行列は後述するように行列の積において ``'' の役割をはたす.
定義 1.6 (スカラー行列) 対角成分の値がすべて等しい対角行列を スカラー行列(scalar matrix)と呼ぶ.
例 1.1 (スカラー行列の具体例)
(9)
定義 1.7 (上三角行列) 対角成分を除く左下半分がすべて 0 の正方行列
(10)
を上三角行列(upper triangular matrix)と呼ぶ.
定義 1.8 (下三角行列) 対角成分を除く右上半分がすべて 0 の正方行列
(11)
を下三角行列(lower triangular matrix)と呼ぶ.
定義 1.9 (転置行列) 行と列の成分を入れ換えた行列
(12)
を転置行列(transposed matrix)と呼ぶ. 行と列を入れ換える演算を転置(transpose)をとるという. 転置された行列を と書く.また と書くこともある.
例 1.2 (転置の具体例)
(13)
問 1.1 を示せ.
(証明) , とおく. 行と列を入れ換えるので は とも書ける. つまり となる. 転置をとる操作を成分でみると, 行と列の添字を入れ換える操作に対応する. よって
(14)
となる.証明終了.
定義 1.10 (対称行列) を満たす行列を 対称行列(symmetric matrix)と呼ぶ.
例 1.3 (対称行列の具体例)
(15)
問 1.2 (対称行列の一般的な表現) 対称行列は正方行列で一般に
(16)
と表わされる. これを示せ.
定義 1.11 (歪対称行列) を満たす行列を 歪対称行列(skew symmetric matrix) または, 交代行列(alternative matrix) と呼ぶ.
例 1.4 (歪対称行列の具体例)
(17)
問 1.3 (対称行列の一般的な表現) 歪対称行列は正方行列で一般に
(18)
と表わされる. これを示せ.
問 1.4 教科書(p.5)問題 1.1.
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Created at 2002/07/22