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12 級数
級数(series)とは数列
の和である. 式では
(74) (75)
と書き表す. 加法(足し算)は有限回の演算においてのみ定義されているので, 式()は形式的な和である. 厳密に級数を定義するには次のように考える. まず第
項までの有限和
(76)
を考える. これを第部分和(the
-th partial sum)と呼ぶ.
に関する数列
(77)
を考える. 数列の極限
(78)
が存在したとする. このとき級数は存在し, その値は
(79)
で与えられると定義する. 極限が存在するとき級数
は収束すると呼ぶ. 極限
が存在しない場合は級数
は発散すると呼ぶ.
定義 1.41 (級数) 数列の和
を級数(series)と呼び, その値は
(80)
で定義する. この極限が存在するとき 級数は収束する(convergent)といい, 収束しない場合を 級数
は発散する(divergent)という.
例 1.44 (無限級数の結合則) 数列の 級数
を考える. すなわち
(82)
である. 足し算の順を入れ替えると
(83) (84)
となる.また別の順で足し合わせると
(85) (86)
となる. これらは矛盾する. どこが誤りであろうか? 有限の項の和の常識は無限の項の和には通用しない. この場合の間違いは足し算の順を変えたことである. この例では結合則が成り立たない. 定義に従えば級数
は発散である.
例 1.45 (等比級数) 等比数列の無限和を 等比級数(geometrical progression series)と呼び,
(87)
と書き表す. 等比級数は
(88)
となる.(証明) 第
部分和
(89)
を考える.のとき,
(90)
となる. つぎにのとき,等式
(91)
を用いるとは
(92)
と書ける. 以上より
(93)
となる. ただし無限大の符号はの符号
で決まる. 証明終り.
問 1.46 (1を根にもつ多項式の因数分解) 次の等式を示せ.
(94)
注意 1.47 (初項が異なる級数) 級数が
(95)
と定義されるときの値を考える. 部分和は
(96)
となるから, 結局級数は
(97)
と得られる.
注意 1.48 (等比級数の有理式表現)のとき
(98)
とな. この式はを
で割ることでも導出される. すなわち,
(99) (100) (101) (102) (103)
のように低次項を主項として割り算を無限回続ける.
例 1.49 (等比級数の具体例)
(104) (105) (106) (107)
または
(108) (109) (110)
(111)
例 1.50 (等比級数の具体例)
(112) (113) (114)
または
(115) (116)
(117)
例 1.51 (等比級数の具体例)
(118)
(証明)
(119) (120) (121) (122)
問 1.52 参考書(p.172)問題7-1.
問 1.53 (級数の計算)
(123) (124) (125) (126)
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Created at 2003/08/29