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定理 5.7 (置換積分法)
積分変数を

と変換すると
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(808) |
となる.
また逆に
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(809) |
と積分変数を

と置き換えて積分する.
この積分の方法を
置換積分法(integration by substitution)という.
(証明)関数
を
の原始関数とする.
変数
を
と変数変換する.
このとき
は
合成関数の微分則より
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(810) |
となる.両辺を

で積分すると
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(811) |
を得る.左辺は
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(812) |
であるから証明終了.
例 5.8 (置換積分の使用例)
不定積分
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(813) |
を計算する.まず
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(814) |
と変数変換する.このとき両辺を

で微分すると
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(815) |
であるので
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(816) |
を得る.これより置換積分法を用いると不定積分は
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![$\displaystyle = \int t^{m}\frac{dx}{dt}\,dt= \int t^{m}\frac{1}{a}\,dt= \frac{1...
... [3ex] \displaystyle{\frac{1}{a}\log\vert t\vert+C} & (m=0) \end{array} \right.$](img2491.png) |
(817) |
となる.変数

を

に戻すと
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![$\displaystyle = \left\{ \begin{array}{ll} \displaystyle{\frac{(ax+b)^{m+1}}{a(m...
...ex] \displaystyle{\frac{1}{a}\log\vert ax+b\vert+C} & (m=0) \end{array} \right.$](img2495.png) |
(818) |
を得る.
置換積分は慣れてくれば変数変換を省略して計算をする.
次のように式変形を行なう:
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(819) |
例 5.9 (置換積分の使用例)
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(820) |
例 5.10 (置換積分の使用例)
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(821) |
これで不定積分は得られたが他の表現も考える.
逆双曲線関数は
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(822) |
とも表される.これを用いると不定積分は
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(823) |
となる.またこれを変形すると
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(824) |
となる.

は任意の定数なので

をあらためて

と
おき直すと
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(825) |
を得る.
以上得られた結果は
任意定数分の不定性を除けば全て同じ不定積分である.
注意 5.11 (不定積分の関数の表現)
不定積分は計算の方法により得られる結果が一見すると
違うときがある.
これは不定積分が任意定数の不定性をもつためである.
注意が必用である.
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Kondo Koichi
Created at 2003/08/29