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3 関数のグラフ

$ x$$ y$を 直角に交わるように描き $ xy$ 平面 を用意する. 変数 $ x$ の値を定義域内で変化させ,点 $ (x,y)=(x,f(x))$ の軌跡を $ xy$ 平面内に描く. これにより関数 $ f(x)$ のグラフが得られる.

定義 2.3 (一価関数,多価関数)   ある一つの $ x$ の値に対する $ y$ の値の個数で 次のように関数を分類する.

定義 2.4 (逆関数)   $ y=f(x)$ を方程式とみなし, $ x$ について解いたとき $ x=g(y)$ が得られたとする. このとき $ g(y)$逆関数(inverse function) と呼び $ g(y)=f^{-1}(y)$ と書く. 変数の表し方が本質的でない場合は $ y$$ x$ を取り替えて $ f^{-1}(x)$ と書く.

例 2.5 (逆関数の具体例)   関数 $ y=f(x)=ax+b$ の逆関数を考える. $ y=ax+b$ について解くと,$ x=(y-b)/a$ となるので, 逆関数は $ f^{-1}(y)=(y-b)/a$ となる. $ y$$ x$ を入れ替えると $ f^{-1}(x)=(x-b)/a$ である.

問 2.6 (逆関数のグラフ)   関数 $ y=f(x)$ のグラフとその逆関数 $ y=f^{-1}(x)$ のグラフは, 直線 $ y=x$ に関して線対称である. これを示せ.

定義 2.7 (枝,主枝,主値)   多価関数が一価関数となるように値域を限定する. このとき得られる一価関数それぞれを分枝(branch)と呼ぶ. この分枝のうち代表する一つを 主分枝(principal branch)と呼ぶ. 主分岐は主値(principal value)ともいう.

例 2.8 (一価関数,多価関数,逆関数,分枝の具体例)   $ y=f(x)=x^2$ は一価関数である. この関数の逆関数は $ y=f^{-1}(x)=\pm\sqrt{x}$ であり 2 価関数となる. 値域を $ y\geq0$$ y\leq0$ とに限定すると 一価関数が二つ得られる. すなわち分枝は $ y=\sqrt{x}$ $ y=-\sqrt{x}$ である.

問 2.9   参考書(p.19)問題 2-1.

定義 2.10 (単調関数)   関数 $ f(x)$ $ x_{1}<x_{2}$ をみたす 任意の点 $ x_{1}$, $ x_{2}$ ( $ \forall x_{1},x_{2}\in I$) に対して 単調増加または単調減少である関数を 総称して単調関数(monotonic function)と呼ぶ.

例 2.11 (単調関数の具体例)   関数 $ y=f(x)=ax$ を考える. $ a>0$ のとき $ f(x)$ $ -\infty<x<\infty$ において単調増加である. また $ a<0$ のときは $ f(x)$ $ -\infty<x<\infty$ において単調減少となる. なぜなら $ f(x_{2})-f(x_{1})=a(x_{2}-x_{1})$ であり, $ x_{2}-x_{1}>0$ であることより, $ a$ の符号により $ f(x_{2})$$ f(x_{1})$ の大小関係が 定まるからである.

定義 2.12 (周期関数)   $ f(x+T)=f(x)$ を満たす関数を 周期関数(periodic function)と呼ぶ. $ T$周期(period)と呼ぶ.

定義 2.13 (奇関数,偶関数)   $ f(-x)=-f(x)$ を満たす関数を 奇関数(odd function)と呼ぶ. $ f(-x)=(x)$ を満たす関数を 偶関数(even function)と呼ぶ.

問 2.14   奇関数は原点に関して点対称のグラフとなる. 偶関数は $ y$ 軸に関して線対称なグラフとなる. これを示せ.


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Kondo Koichi
Created at 2004/08/14