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15 1 次独立なベクトルの最大個数
定義 1.64 (ベクトルの 1 次独立な最大個数) ベクトルの集合が, ある
個のベクトルでは 1 次独立となり, 任意の
個のベクトルでは 1 次従属となるとき,
を集合
の 1 次独立なベクトルの最大個数という.
例 1.65 (ベクトルの 1 次独立な最大個数の具体例)の 1 次独立なベクトルの最大個数は
である.
(証明)
のときを考える. まず明らかに
は 1 次独立であるので, 1 次独立なベクトルの最大個数は 2 以上である. ここで,3 個のベクトル
を 1 次独立と仮定する. このとき 1 次関係
を考える. これより
となる. 係数行列の階数は以下であるから
は任意定数を含む解であり, 1 次関係は非自明係数となる. よって,
は 1 次従属である. 以上より,
の 1 次独立なベクトルの最大個数は
である.
のときも同様に示される.
定理 1.66 (簡約化行列の 1 次関係) 行列
を簡約化した行列を
とする. このときの列ベクトル
に関する 1 次関係と
の列ベクトル
に関する 1 次関係とは等価である.
(証明) 行列
を簡約化して
となるとき, 基本変形を表す行列
を用いて
と表される. これは
となるので,各列ベクトルは
と表される.または正則行列であるから,
とも表される. ここでに関する 1 次関係を
とする.これより,
を得る. これはに関する 1 次関係であり,
に関する 1 次関係と 等しい.
例 1.67 (ベクトルの 1 次独立な最大個数の具体例) ベクトル
の 1 次独立なベクトルの最大個数と そのときベクトルの組の一つを求める. また,その他のベクトルを 1 次独立なベクトルの 1 次結合で表す.ベクトル
の 1 次関係
を考える.これは
と表される. 方程式の解を求めることで, 1 次関係の係数
が定まる. 行列
を簡約化すると
となる. 方程式の解もまた
となる. なすわち, ベクトル
の 1 次関係と ベクトル
の 1 次関係
は同じものである. まず,の 1 次独立なベクトルの最大個数を考える.
に着目すると,
であり,の基本ベクトルである. 明らかにこれらは 1 次独立であるので, 1 次独立なベクトルの最大個数は少なくとも
である. 他のベクトル
について見ると
である.は 1 次従属である. よってベクトル
の 1 次独立なベクトルの最大個数は
であり, その 1 次独立なベクトルの組の一つは
である. またその他のベクトルは
と 1 次結合で表される. これらの結果は ベクトルの 1 次関係にも適用される. 1 次独立なベクトルの最大個数は
であり, そのベクトルの組は
である. また,その他のベクトルは
が成り立つ.
定理 1.68 (行列の列ベクトルと行ベクトルの 1 次独立な最大個数)
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の列ベクトル 1 次独立な最大個数
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の行ベクトル 1 次独立な最大個数
定理 1.69 (行列と 1 次独立性) 正方行列に対して次の関係が成り立つ:
の
個の列ベクトルは 1 次独立
の
個の行ベクトルは 1 次独立
: 正則行列(
は逆行列をもつ)
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Created at 2004/12/13