例 1.65 (ベクトルの 1 次独立な最大個数の具体例)

の 1 次独立なベクトルの最大個数は

である.
(証明)
のときを考える.
まず明らかに
は 1 次独立であるので,
1 次独立なベクトルの最大個数は 2 以上である.
ここで,3 個のベクトル
を 1 次独立と仮定する.
このとき 1 次関係
を考える.
これより
となる.
係数行列の階数は

以下であるから

は任意定数を含む解であり,
1 次関係は非自明係数となる.
よって,

は
1 次従属である.
以上より,

の
1 次独立なベクトルの最大個数は

である.
のときも同様に示される.
例 1.67 (ベクトルの 1 次独立な最大個数の具体例)
ベクトル
の 1 次独立なベクトルの最大個数と
そのときベクトルの組の一つを求める.
また,その他のベクトルを 1 次独立なベクトルの 1 次結合で表す.
ベクトル
の 1 次関係
を考える.これは
と表される.
方程式

の解を求めることで,
1 次関係の係数

が定まる.
行列

を簡約化すると
となる.
方程式

の解もまた

となる.
なすわち,
ベクトル

の 1 次関係と
ベクトル

の 1 次関係
は同じものである.
まず,

の
1 次独立なベクトルの最大個数を考える.

に着目すると,
であり,

の基本ベクトルである.
明らかにこれらは 1 次独立であるので,
1 次独立なベクトルの最大個数は少なくとも

である.
他のベクトル

について見ると
である.

は 1 次従属である.
よってベクトル

の
1 次独立なベクトルの最大個数は

であり,
その 1 次独立なベクトルの組の一つは

である.
またその他のベクトルは
と 1 次結合で表される.
これらの結果は
ベクトル

の
1 次関係にも適用される.
1 次独立なベクトルの最大個数は

であり,
そのベクトルの組は

である.
また,その他のベクトルは
が成り立つ.