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定義 1.105 (ベクトル空間の和)
ベクトル空間
![$ U$](img883.png)
,
![$ V$](img884.png)
に対して
を
ベクトル空間の和という.
特に,
のとき
と表記し,
直和という.
注意 1.106 (直和)
ベクトル空間
![$ U$](img888.png)
,
![$ V$](img889.png)
,
![$ W$](img890.png)
が
であるとする.
このとき,
![$ W$](img892.png)
のあるベクトル
![$ \vec{w}$](img893.png)
に対して,
をみたす
![$ \vec{u}$](img895.png)
,
![$ \vec{v}$](img896.png)
はただ一つ定まる.
定理 1.107 (ベクトル空間の和の次元)
ベクトル空間
![$ U$](img897.png)
,
![$ V$](img898.png)
,
![$ W$](img899.png)
が
をみたすとき,
である.
をみたすとき,
である.
定理 1.108 (部分空間の共通部分)
ベクトル
が 1 次独立であるとき,
これらのベクトルで生成される空間
の共通部分は
となる.
(証明)
と
の任意のベクトルは
と表される.
ここで,
![$ \vec{a}$](img910.png)
,
![$ \vec{b}$](img911.png)
ともに
![$ W_1\cap W_2$](img912.png)
のベクトルとする.
すなわち,
![$ \vec{a}=\vec{b}$](img913.png)
とする.
このとき,
と 1 次関係を得る.
ベクトル
![$ \vec{u}_1,\cdots,\vec{u}_n$](img916.png)
,
![$ \vec{v}_1,\cdots,\vec{u}_m$](img917.png)
は 1 次独立なので
係数は
と自明なものに限る.
よって共通のベクトルは零ベクトル
![$ \vec{a}=\vec{b}=\vec{0}$](img919.png)
に限る.
定理 1.109 (部分空間の共通部分)
ベクトル
が 1 次独立であるとき,
これらのベクトルで生成される空間
の共通部分は
となる.
例 1.110 (ベクトル空間の和の具体例)
![$ \mathbb{R}^3$](img923.png)
の部分空間
![$ A$](img924.png)
,
![$ B$](img925.png)
の和を考える.
(1)
原点を通る直線
と平面
を考える.
直線
が原点以外で平面
と交わらないとき,
であり,
が成り立つ.
直線
![$ A$](img932.png)
が平面
![$ B$](img933.png)
上にあるとき,
![$ A\subset B$](img934.png)
であるので,
が成り立つ.
(2)
原点を通る平面
と平面
を考える.
であるとき
と
とが交わる点の集合は直線
となる.
である.
このとき,
が成り立つ.
![$ A=B$](img944.png)
であるときは,
が成り立つ.
例 1.111 (ベクトル空間の和の具体例)
![$ \mathbb{R}^2$](img946.png)
の部分空間
![$ A$](img947.png)
,
![$ B$](img948.png)
,
![$ C$](img949.png)
の和を考える.
(1) 原点を通る直線
,
を考える.
であるとき,
であるから,
が成り立つ.
(2) 原点を通る直線
と平面
を考える.
,
であり,
であるから,
が成り立つ.
例 1.112 (ベクトル空間の和の具体例)
ベクトル
![$ \vec{u}_1,\vec{u}_2,\vec{u}_3$](img961.png)
を
1 次独立とする.
これらで生成される部分空間
を考える.
これらの和は
と表される.
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Kondo Koichi
Created at 2004/12/13