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13 回転移動

例 2.61 ( $ \mathbb{R}^2$ の回転)   直交変換

  $\displaystyle f:\mathbb{R}^{2}\to\mathbb{R}^2;$    
  $\displaystyle \vec{y}=f(\vec{x})= R_\theta\vec{x}= \begin{bmatrix}\cos\theta & ...
...in\theta & \cos\theta \end{bmatrix} \begin{bmatrix}x_{1} \\ x_{2} \end{bmatrix}$    

を考える. この直交変換 $ f$ $ \mathbb{R}^{2}$ 内の 点を原点を中心に反時計回りに角 $ \theta$ 回転移転を表す. 直交行列 $ R_\theta$ $ \mathbb{R}^2$回転行列という.

標準基底 $ \vec{e}_1$, $ \vec{e}_2$$ f$ で写したベクトルを

$\displaystyle \vec{v}_{1}=f(\vec{e}_{1})= \begin{bmatrix}\cos\theta \\ \sin\the...
...c{v}_{2}=f(\vec{e}_{2})= \begin{bmatrix}-\sin\theta \\ \cos\theta \end{bmatrix}$    

とおく. $ \vec{v}_1$, $ \vec{v}_2$ はそれぞれ $ \vec{e}_1$, $ \vec{e}_2$ を原点を中心に $ \theta$ 回転させた ベクトルである. 次に,任意のベクトル

$\displaystyle \vec{x}= \begin{bmatrix}x_{1} \\ x_{2} \end{bmatrix} = x_1\vec{e}_1+ x_2\vec{e}_2$    

$ f$ で写すと

$\displaystyle \vec{y}=f(\vec{x})= f(x_1\vec{e}_1+x_2\vec{e}_2)= x_1f(\vec{e}_1)+x_2f(\vec{e}_2)= x_1\vec{v}_1+x_2\vec{v}_2$    

と表される. $ \vec{y}$ は基底 $ \{\vec{v}_1,\vec{v}_2\}$ における 座標 $ (x_1,x_2)$ の点である. 元の点 $ \vec{x}$ は標準基底 $ \{\vec{e}_1,\vec{e}_2\}$ における 座標 $ (x_1,x_2)$ の点であるので, $ \vec{y}$ は原点を中心に $ \theta$ 回転した点となる.

問 2.62 (直交行列と回転行列)   $ A{A}^{T}=E$ をみたす $ 2\times2$ 型の実行列は回転行列のみである. これを示せ.

例 2.63 ( $ \mathbb{R}^3$ の回転)   直交変換

  $\displaystyle f:\mathbb{R}^3\to\mathbb{R}^3;$    
  $\displaystyle \vec{y}= \begin{bmatrix}\cos\theta & -\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{bmatrix} \vec{x}= R\vec{x}$    

を考える. この写像は $ x_3$ 軸を中心に $ \theta$ 回転を表す. $ R{R}^{T}=E$ より $ R$ は直交行列である.

例 2.64 ( $ \mathbb{R}^3$ の回転)   $ x_1$ 軸まわりの回転:

$\displaystyle R_1= \begin{bmatrix}1 & 0 & 0 \\ 0 & \cos\theta_1 & -\sin\theta_1 \\ 0 & \sin\theta_1 & \cos\theta_1 \end{bmatrix}$    

$ x_2$ 軸まわりの回転:

$\displaystyle R_2= \begin{bmatrix}\sin\theta_2 & 0 & \cos\theta_2 \\ 0 & 1 & 0 \\ \cos\theta_2 & 0 & -\sin\theta_2 \end{bmatrix}$    

$ x_3$ 軸まわりの回転:

$\displaystyle R_3= \begin{bmatrix}\cos\theta_3 & -\sin\theta_3 & 0 \\ \sin\theta_3 & \cos\theta_3 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{bmatrix}$    

$ R_1$, $ R_2$, $ R_3$ は直交行列である.

$ x_1$ 軸まわりに回転し,その後 $ x_2$ 軸まわりに回転させるとき, 表現行列は $ R_2R_1$ である.これもまた直交行列である. 同様に $ R_1R_2$, $ R_1R_3$, $ \cdots$ もまた回転を表す. ただし, $ R_iR_j\neq R_jR_i$ であることに注意すること. 回転する順番が違えば異なる回転を表すからである.


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Kondo Koichi
Created at 2004/12/13