4.13 正項級数に関する収束性の比較判定法
定理 4.50 (比較判定法) 二つの正項級数
(506)
を考える.数列
,
がある正の整数
に対して
(507)
を満たすとき, 次の関係が成り立つ:
- (i)
が収束するとき,
も収束する.
- (ii)
が発散するとき,
も発散する.
例 4.51 (比較判定法の具体例) 級数を考える. 数列
,
とする. このとき
を満たす. また,級数
は収束する. よって定理より級数
もまた収束する.
定理 4.52 (比較判定法) 二つの正項級数
(508)
を考える. 数列,
が
(509)
を満たし,かつ級数が収束するとき, 級数
も収束する.
例 4.53 (調和級数) 級数を 調和級数(harmonic series)という. 調和級数は発散する.
(証明)調和級数の部分和
(510)
の各項を括り直して
(511) (512)
とおき直す. ただしであり
とおく. ここで,数列
と
を満たす数列
を
(513) (514) (515) (516) (517) (518) (519)
とおく. よって比較判定法より
(520)
を得る.以上証明終り.
例 4.54 (収束判定の具体例)
(521)
より
(522)
は収束する.
例 4.55 (収束判定の具体例)
(523)
より,は収束するので
も収束する.
定理 4.56 (級数の収束)
(524)
Kondo Koichi
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平成17年8月31日