2.10 級数
級数(series)とは数列
の和である. 式では
(5) (6)
と書き表す. 加法(足し算)は有限回の演算においてのみ定義されているので, 式()は形式的な和である. 厳密に級数を定義するには次のように考える. まず第
項までの有限和
を考える. これを第部分和(the
-th partial sum)と呼ぶ.
に関する数列
を考える. 数列の極限
が存在したとする. このとき級数は存在し, その値は
で与えられると定義する. 極限が存在するとき級数
は収束すると呼ぶ. 極限
が存在しない場合は級数
は発散すると呼ぶ.
定義 2.32 (級数) 数列の和
を級数(series)と呼び, その値は
で定義する. この極限が存在するとき 級数は収束する(convergent)といい, 収束しない場合を 級数
は発散する(divergent)という.
例 2.35 (無限級数の結合則) 数列の 級数
を考える. すなわち
である. 足し算の順を入れ替えると
となる.また別の順で足し合わせると
となる. これらは矛盾する. どこが誤りであろうか? 有限の項の和の常識は無限の項の和には通用しない. この場合の間違いは足し算の順を変えたことである. この例では結合則が成り立たない. 定義に従えば級数
は発散である.
問 2.36 (級数の計算)
Kondo Koichi
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平成19年1月23日