5.21 テイラー級数を用いた関数の極限の計算
関数
のにおける極限を考える.
をテイラー級数で表わしたのち関数の極限を求める. すなわち
として計算する. まず分子であるをテイラー展開すると
となる. 次に分子を分母
で割り,
のテイラー展開を求める. すなわち
を得る. もとの関数とテイラー級数で表わした関数とは等価なものである. よって
を得る. 関数はもともと点
において 値が定義されていない. しかしながら, 等価な式であるテイラー級数では, 点
は特別な点ではない. 点
は見かけの不連続点である. ある関数に不連続点があるとき, その不連続点が取り除けるかどうかは, その関数をテイラー級数表示をすればよい.
問 5.55 (極限の計算) 極限
を求めよ.
例 5.56 (テイラー展開を用いた極限の計算の例) 関数
に対して極限を考える. このとき
として極限を求める. しかしながら, べき級数は存在しない. そこで変数を
と導入する. すると極限は
と表わされる.を計算すると
となる.まずをテイラー展開すると
を得る. これを用いてのテイラー展開を求めると
となる.よって極限は
と得られる.
平成19年10月3日