2.5 転置行列

定義 2.18 (転置行列)   行と列の成分を入れ換えた行列

$\displaystyle {A}^{T}$ $\displaystyle = \begin{bmatrix}a_{11} & a_{21} & a_{31} & \cdots & a_{m1} \\ a_...
...& \ddots & \vdots \\ a_{1n} & a_{2n} & a_{3n} & \cdots & a_{mn} \end{bmatrix}\,$ (269)

転置行列(transposed matrix)と呼ぶ. 行と列を入れ換える演算を転置(transpose)をとるという. 転置された行列を $ {A}^{T}$ と書く.また $ {}^{t}A$ と書くこともある.

2.19 (転置の具体例)  

$\displaystyle A$ $\displaystyle = \begin{bmatrix}1 & 3 & -2 \\ 4 & 5 & 2 \end{bmatrix}\,,\qquad {A}^{T}= \begin{bmatrix}1 & 4 \\ 3 & 5 \\ -2 & 2 \end{bmatrix}\,.$ (270)

2.20   $ {({A}^{T})}^{T}=A$ を示せ.


(証明) $ A=[a_{ij}]$, $ {A}^{T}=[b_{ij}]$ とおく. 行と列を入れ換えるので $ {A}^{T}$ $ {A}^{T}=[a_{ji}]$ とも書ける. つまり $ b_{ij}=a_{ji}$ となる. 転置をとる操作を成分でみると, 行と列の添字を入れ換える操作に対応する. よって

$\displaystyle {({A}^{T})}^{T}$ $\displaystyle = {({[a_{ij}]}^{T})}^{T}= {([a_{ji}])}^{T}= [a_{ij}]=A$ (271)

となる.証明終了.




平成20年2月2日