1.10 全単射
定義 1.38 (定義域,値域) 写像 に関して, を定義域(domain)といい,
で定義される集合を 値域(range)または像(image)という.
例 1.39 (値域の具体例) 写像 の 定義域は であり, 値域または の像は である.
例 1.40 (値域の具体例) 写像 の 定義域は であり, 値域または の像は である.
定義 1.41 (写像の分類) 写像 に対して次の分類を定義する.
- をみたすとき. を上への写像(onto-mapping) または全射(surjection)という.
- 異なる 2 つの元 , に対して となるとき, すなわち, ある元 に対して となる ただ 1 つの元 が定まるとき, を1 対 1 写像(one-to-one mapping) または単射(injection)という.
- 単射かつ全射のとき を 上への 1 対 1 写像(onto one-to-one mapping)または 全単射(bijection)という.
定理 1.42 (逆写像) 全単射のとき逆写像をもつ.
例 1.43 (全単射の具体例) 写像
は上への 1 対 1 写像である. また,このとき逆写像をもち,
と表される.
例 1.44 (全単射ではない具体例) 写像
を考える. より をみたし, は上への写像ではない. さらには, に対して となり, 2 対 1 の写像であり 1 対 1 写像ではない. またこれらより,逆写像 は存在しない.
平成20年2月2日