行列
のある固有値
の重複度が
であるとする.
固有空間
が
のとき,行列
は対角化できない.
このとき
で定義される一般固有空間を考える.
に対して
より
が成り立つので,
である.
定理 5.121 (一般固有空間)
![$ W_m$](img3533.png)
の基底で
をみたす基底
![$ \{\vec{p}_1,\vec{p}_2,\cdots,\vec{p}_m\}$](img3544.png)
が存在する.また,
![$ \dim(W_m)=m$](img3545.png)
が成り立つ.
行列
に対しては,この定理より
となり,
が成り立つ.
一般には次の定理が成り立つ.
定理 5.122
行列
![$ A$](img267.png)
は固有値
をもつとする.
このとき
![$ A$](img267.png)
はある正則行列
![$ P$](img1066.png)
を用いて
の形にブロック対角化される.
![$ D$](img3043.png)
を
ジョルダン標準形(Jordan canonical form)という.
ここで
![$ J(\lambda,m)$](img3557.png)
を
ジョルダンブロック(Jordan block)または
ジョルダン細胞(Jordan cell)という.
例 5.123 (ジョルダン標準形の具体例)
行列
を対角化する.
より,固有値は
2 重![$ )$](img3196.png)
となる.
![$ \lambda=2$](img2897.png)
のとき,
となるので,
![$ (A-2E)\vec{x}=\vec{0}$](img3561.png)
を解いて
固有ベクトルは
と得られる.
![$ \lambda=-1$](img3199.png)
のとき,
となるので,
![$ (A+E)\vec{x}=\vec{0}$](img3563.png)
を解いて
固有ベクトルは
と得られる.
![$ \dim(W(-1))=1$](img3564.png)
であり対角化できない.
![$ (A+E)^2\vec{x}=\vec{0}$](img3565.png)
の解空間である
一般固有空間
![$ W_2(-1)$](img3566.png)
を考える.
このとき,
より,
![$ (A+E)\vec{x}=\vec{p}_2$](img3568.png)
を解いて
となるので,
![$ (A+E)^2\vec{p}_3=\vec{0}$](img3570.png)
,
![$ (A+E)\vec{p}_3=\vec{p}_2$](img3571.png)
をみたす
一般固有ベクトル
![$ \vec{p}_3$](img3192.png)
が得られる.
このとき
![$ A$](img267.png)
はジョルダン標準形に
と分解される.
問 5.124 (ジョルダン標準形)
数値を代入し
![$ D=P^{-1}AP$](img3154.png)
が成り立つことを確認せよ.
問 5.125 (ジョルダン標準形)
に対して
が成り立つことを示せ.
平成20年2月2日