行列 のある固有値 の重複度が であるとする.
固有空間
が のとき,行列 は対角化できない.
このとき
で定義される一般固有空間を考える.
に対して
より
が成り立つので,
である.
定理 5.121 (一般固有空間)
の基底で
をみたす基底
が存在する.また,
が成り立つ.
行列
に対しては,この定理より
となり,
が成り立つ.
一般には次の定理が成り立つ.
定理 5.122
行列
は固有値
をもつとする.
このとき
はある正則行列
を用いて
の形にブロック対角化される.
を
ジョルダン標準形(Jordan canonical form)という.
ここで
を
ジョルダンブロック(Jordan block)または
ジョルダン細胞(Jordan cell)という.
例 5.123 (ジョルダン標準形の具体例)
行列
を対角化する.
より,固有値は
2 重 となる.
のとき,
となるので,
を解いて
固有ベクトルは
と得られる.
のとき,
となるので,
を解いて
固有ベクトルは
と得られる.
であり対角化できない.
の解空間である
一般固有空間
を考える.
このとき,
より,
を解いて
となるので,
,
をみたす
一般固有ベクトル
が得られる.
このとき
はジョルダン標準形に
と分解される.
問 5.124 (ジョルダン標準形)
数値を代入し
が成り立つことを確認せよ.
問 5.125 (ジョルダン標準形)
に対して
が成り立つことを示せ.
平成20年2月2日