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巾級数
は
についての関数である.
これを
とおく.
数列
が一つ与えられると
関数
が一つ定まる.
すなわち
数列: 関数: |
(429) |
との対応関係がある.
それでは関数
が一つ与えられたとき,
巾級数
の係数である
は
どのような値に定まるであろうか.
すなわち,問題として対応関係
関数: 数列: |
(430) |
を考える.
定理 4.7 (テイラー級数)
関数

が

回微分可能なとき,
が成り立つ.
ただし点

は定義内のある点とする.
この巾級数を関数

に関する

まわりの
テイラー級数(Taylor series)と呼ぶ.
特に

のときは,
マクローリン級数(Maclaurin series)と呼ぶ.
注意 4.8 (テイラー級数の収束半径)
テイラー級数は巾級数

を
 |
(434) |
とおいたものである.
よってテイラー級数の収束半径は
 |
 |
(435) |
により求まる.
問 4.10
これを示せ.
収束半径も求めよ.
(答え)
(1)
とおく.
導関数を計算すると
 |
(436) |
となる.
点

における微分係数は
 |
(437) |
である.
よってテーラー級数は
 |
 |
(438) |
と求まる.
巾級数

の
収束半径

を求める.
係数は
 |
(439) |
であるから,
収束半径として
 |
 |
(440) |
を得る.
(2)
とおく.
導関数を計算すると
 |
(441) |
である.一般的に書くと
 |
 |
(442) |
である.点

における微分係数は
 |
 |
(443) |
と求まる.
これを用いてテーラー級数を求めると
 |
 |
(444) |
|
 |
(445) |
|
 |
(446) |
|
 |
(447) |
|
 |
(448) |
|
 |
(449) |
|
 |
(450) |
|
 |
(451) |
|
 |
(452) |
を得る.
収束半径を求める.
 |
 |
(453) |
とおくと
が得られる.
(4)
とおく.
導関数を計算すると
 |
 |
(456) |
となる.一般的には

に対して
 |
 |
(457) |
と表わされる.
点

における微分係数は
 |
 |
(458) |
となる.
よってテーラー級数は
と得られる.
収束半径

を求める.
 |
 |
(461) |
とおくと,
 |
 |
(462) |
と得られる.
(5)
とおく.
導関数を計算すると
 |
 |
(463) |
である.
一般的には
 |
 |
(464) |
と表わされる.
点

における微分係数は
 |
 |
(465) |
と得られる.
よってテーラー級数は
 |
 |
(466) |
となる.
収束半径

は

とおくと
 |
 |
(467) |
と得られる.
(6)
とおく.
導関数を計算すると
である.

が自然数の場合と,
それ以外の場合に分けて考える.
まず

が自然数以外の実数のときを考える.
導関数は
と表わされる.
点

における微分係数は
 |
 |
(472) |
となる.
よってテーラー級数は
 |
 |
(473) |
と求まる.
収束半径

は
 |
(474) |
とおくと,
と得られる.
次に

が自然数のときを考える.
導関数は
 |
 |
(477) |
と表わされる.
点

における微分係数は
 |
 |
(478) |
と求まる.
よってテーラー級数は
 |
 |
(479) |
と得られる.
この展開式は有限項の和であり,有限次数の多項式である.

が自然数のときのテーラー展開は
二項展開となる.
展開式は多項式であり任意の実数

に対して成立する.
よって

であり,収束半径は

となる.
問 4.11
教科書(p.191)問題 7-5 2, 3.
定義 4.12 (階乗の拡張)

を実数とする.このとき

を
 |
 |
(480) |
と定義する.
例 4.13 (階乗の具体例)

が自然数

のとき
 |
 |
(481) |
である.

が自然数ではないとき
 |
 |
(482) |
となり無限積で表わされる.
例えば

のときは
となる.
定義 4.14 (二項係数の拡張)
実数

, 自然数

に対して
 |
 |
(485) |
と定義する.
例 4.15 (二項係数の具体例)

が自然数

のときは
 |
 |
(486) |
であり通常の二項係数と等しい.

,

のとき
 |
 |
(487) |
となる.

,

のとき
 |
 |
(488) |
となる.
注意 4.16 (三角関数と指数関数)
三角関数と指数関数は
 |
(489) |
の関係にある.
ここで

は複素指数関数である.
複素指数関数は複素数

に対して
 |
(490) |
と定義される.
右辺は複素巾級数である.
この定義より関係式が自然に導出される.
このとき

とし

とおく.
すると
 |
 |
(491) |
|
 |
(492) |
|
 |
(493) |
|
 |
(494) |
|
 |
(495) |
を得る.
同様に

とおくと
 |
 |
(496) |
|
 |
(497) |
|
 |
(498) |
|
 |
(499) |
|
 |
(500) |
|
 |
(501) |
|
 |
(502) |
を得る.
これより最初の関係式を得る.
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Kondo Koichi
Created at 2002/09/12