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7 級数
級数(series)とは数列
の和である. 式では
(427) (428)
と書き表す. 加法(足し算)は有限回の演算においてのみ定義されているので, 式()は形式的な和である. 厳密に級数を定義するには次のように考える. まず第
項までの有限和
(429)
を考える. これを第部分和(the
-th partial sum)と呼ぶ.
に関する数列
(430)
を考える. 数列の極限
(431)
が存在したとする. このとき級数は存在し, その値は
(432)
で与えられると定義する. 極限が存在するとき級数
は収束すると呼ぶ. 極限
が存在しない場合は級数
は発散すると呼ぶ.
定義 4.30 (級数) 数列の和
を級数(series)と呼び, その値は
(433)
で定義する. この極限が存在するとき 級数は収束する(convergent)といい, 収束しない場合を 級数
は発散する(divergent)という.
例 4.33 (無限級数の結合則) 数列の 級数
を考える. すなわち
(435)
である. 足し算の順を入れ替えると
(436) (437)
となる.また別の順で足し合わせると
(438) (439)
となる. これらは矛盾する. どこが誤りであろうか? 有限の項の和の常識は無限の項の和には通用しない. この場合の間違いは足し算の順を変えたことである. この例では結合則が成り立たない. 定義に従えば級数
は発散である.
例 4.34 (等比級数) 等比数列の無限和を 等比級数(geometrical progression series)と呼び,
(440)
と書き表す. 等比級数は
(441)
となる.(証明) 第
部分和
(442)
を考える.のとき,
(443)
となる. つぎにのとき,等式
(444)
を用いるとは
(445)
と書ける. 以上より
(446)
となる. ただし無限大の符号はの符号
で決まる. 証明終り.
問 4.35 (1を根にもつ多項式の因数分解) 次の等式を示せ.
(447)
注意 4.36 (初項が異なる級数) 級数が
(448)
と定義されるときの値を考える. 部分和は
(449)
となるから, 結局級数は
(450)
と得られる.
注意 4.37 (等比級数の有理式表現)のとき
(451)
とな. この式はを
で割ることでも導出される. すなわち,
(452) (453) (454) (455) (456)
のように低次項を主項として割り算を無限回続ける.
例 4.38 (等比級数の具体例)
(457) (458) (459) (460)
または
(461) (462) (463)
(464)
例 4.39 (等比級数の具体例)
(465) (466) (467)
または
(468) (469)
(470)
例 4.40 (等比級数の具体例)
(471)
(証明)
(472) (473) (474) (475)
問 4.41 参考書(p.172)問題7-1.
問 4.42 (級数の計算)
(476) (477) (478) (479)
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Created at 2004/08/14