![]()
![]()
![]()
![]()
Next: 27 基底の変換 Up: 1 ベクトル空間 Previous: 25 直和分解   Contents
26 直交補空間
定義 1.115 (ベクトルと部分空間の直交) ベクトルと 部分空間
に含まれるすべてのベクトル
とが 直交するとき,すなわち
が成り立つとき,と
とは直交するといい,
と表記する.
例 1.116 (ベクトルと部分空間とが直交する具体例)の部分空間
とベクトルと は直交
する. なぜなら,
は方程式
の 解空間として表されるからである. この例では
は平面であり
は法線ベクトルである.
定義 1.117 (直交補空間) ベクトル空間とその部分空間
に対して, 部分空間
をにおける
の直交補空間という.
定理 1.118 (直交補空間による直和分解) ベクトル空間における部分空間
の直交補空間
は
となる.次元は
の関係が成り立つ.
定理 1.119 (直交補空間の次元) 部分空間
の次元は
である.ただし,
とおく.の直交補空間
は 方程式
の解空間であり,
となり,次元は
である.
例 1.120 (直交補空間の具体例) 部分空間
に対する直交補空間を求める.
の任意のベクトルを
とする.
は
の任意のベクトル
と 直交するので
が成り立つ. こりより,
と表される. すべての,
について成り立つためには
をみたさなければならない. この連立方程式を書き直すと
であり,
となる. これを解く. 係数行列を簡約化すると
となるので,解は
となる. よって,直交補空間は
と得られる.
の基底
と
の基底
とは 1 次独立である. よって
であるので,
が成り立つ. また,
,
は
の 基底となることに注意する. つまり
である.
例 1.121 (直交補空間の具体例) ベクトルを 正規直交基底とする. このとき
が成り立つ. ここで
とおくと,は
における
の直交補空間となる. なぜなら任意のベクトル
,
に対して
が成り立ち,と
は直交するからである. よって
であり,は
とその直交補空間
に よって直和分解される. 同様に
と部分空間とのその直交補空間とで直和分解される. ただし,
とおく.
例 1.122 (直交補空間の具体例) 正規直交基底で 生成されるベクトル空間
を考える.このときは直和分解されて
と表される.は
における
の直交補空間である. さらに
を直和分解して
と表される.は
における
の直交補空間である. 同様に繰り返して直交補空間で直和分解が可能である:
![]()
![]()
![]()
![]()
Next: 27 基底の変換 Up: 1 ベクトル空間 Previous: 25 直和分解   ContentsKondo Koichi
![]()
![]()
Created at 2004/12/13