有理関数
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(892) |
の不定積分
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(893) |
を考える.
任意の有理関数は積分可能である.
Step 1 (分子を分母で割る)
分子の次数
が分母の次数
以上のときは
まず割り算を行い,
とする.
このとき多項式の部分は必ず積分が可能である.
よって以後では分子の次数
は分母の次数
より小さい(
)とする.
Step 2 (分母を因数分解する)
有理式を
とする.
分母の多項式
を実数の範囲で因数分解する.
このとき
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(895) |
と表される.
は重複度である.
2次式の判別式は負である.
Step 3 (部分分数分解する)
有理式
を
部分分数分解する.
すなわち
と変形する.
問 6.18 (部分分数分解)
任意の有理式

は
上式のように部分分数分解される.これを示せ.
Step 4 (部分分数ごとに積分する)
部分分数ごとに積分を行う.
すなわち
を計算する.
それぞれの場合ごとに積分を考える.
まず,
分母の因子が
次式の場合の積分を行なう.
すると
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![$\displaystyle = \left\{ \begin{array}{ll} \log\vert x+b\vert+C & (m=1)\\ [2ex] \displaystyle{\frac{-1}{m-1}\frac{1}{(x+b)^{m-1}}+C} & (m\ge2) \end{array}\right.$](img1825.png) |
(904) |
を得る.
次に,
分母の因子が
次式の場合の積分を行なう.
次式の判別式が負であることに注意すると
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(905) |
と表される.
ここで
,
,
とおく.
すると
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(906) |
と表される.この形から積分を進める.
さらに式変形すると
となる.
ここで
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(910) |
とおく.
第一項目の積分
は
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(911) |
と求まる.
第二項目の積分
を計算する.
のとき
となる.
のときは漸化式
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(914) |
より
が定まる.
これを示す.
置換積分を用いると
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(915) |
となる.ここで
とおいた.
式変形すると
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(916) |
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(917) |
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(918) |
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(919) |
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(920) |
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(921) |
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(922) |
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(923) |
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(924) |
となり漸化式を得る.
問 6.21 (部分分数展開の計算例)
部分分数分解として
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(932) |
とする.
係数

,

,

,

を定めよ.
問 6.22 (部分分数展開の計算例)
部分分数分解として
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(933) |
とする.
係数

,

,

,

,

,

,

,

を定めよ.
例 6.23 (有理式関数の不定積分の具体例)
不定積分
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(934) |
を計算する.
分子の次数が分母の次数以上であるから,
分子を分母で割り
のように変形する.
多項式部分は積分される.
残るは有理式の積分である.
これを計算すると
となる.
よって
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(940) |
を得る.
例 6.24 (有理式関数の不定積分の具体例)
不定積分
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(941) |
を計算する.まず,
部分分数分解として
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(942) |
とする.
通分して同じ次数でまとめると
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(943) |
となる.よって係数は
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(944) |
を満足しなければならない.
これを解くと
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(945) |
となる.
よって部分分数分解は
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(946) |
と表される.
よって,
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(947) |
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(948) |
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(949) |
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(950) |
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(951) |
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(952) |
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(953) |
を得る.
例 6.25 (有理式関数の不定積分の具体例)
不定積分
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(954) |
を計算する.
まず,部分分数分解する.
とおくと,
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(957) |
であり,これを解くと
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(958) |
となる.よって
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(959) |
を得る.
これを積分して
を得る.
例 6.26 (有理式関数の不定積分の具体例)
不定積分
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(964) |
を計算する.
まず
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(965) |
とおくと
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(966) |
より
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(967) |
が定まる.よって
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(968) |
となる.これより
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(969) |
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(970) |
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(971) |
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(972) |
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(973) |
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(974) |
を得る.
Kondo Koichi
平成17年8月31日