3.17 線積分と多重積分
注意 3.77 (周回積分) 積分路が一周しているとき, 線積分
を
と表記することがある. これを周回積分とも呼ぶ.
定義 3.78 (領域の境界) 領域の境界を
と表記する. このとき内部が進行方向の左手になるように向きを定める. (注意)ここで
は偏微分の記号とは全く関係ない. 単に記号の形が「ぐるっとまわる」の見えるため.
(a) 領域 と境界
(b) 穴のあいた領域
定理 3.79 (グリーンの定理) 領域内で関数
が連続なとき,
が成り立つ.
注意 3.80 (グリーンの定理) グリーンの定理は線積分と多重積分の移り合いを表す.
例 3.81 (グリーンの定理の使用例)を半径
の円上を 1 周する有向曲線
とする. このときの内部の領域は
である. 領域において関数
,
は連続であるから, 線積分
はグリーンの定理が適用でき,
と計算される.
例 3.82 (グリーンの定理が使用不可な例) 線積分
を考える.は単位円上を 1 周する有向曲線であり,
の内部の領域は
である. 関数
は原点で連続ではないので, 領域のすべての点において 関数
,
は連続ではないからグリーンの定理は適用できない.
誤りではあるが, グリーンの定理を適用して計算すると,
より,
となる. 正しくは,
と得られる.
Kondo Koichi
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平成18年1月18日