2.36 1 変数の陰関数
定義 2.152 (陰関数) 変数,
が条件
をみたすとき,
は
の関数
であり, または
は
の関数
であるとみなせる. すなわち,
により定義される関数,
を,
で定義される陰関数(implicit function)という.
注意 2.153 (陽関数) 関数や
などの関数は 陽に(explicit)表されているという.
定理 2.154 (陰関数の微分) 条件で定義される陰関数
の導関数は,
のとき
で与えられる.
(証明) 関数
を
に代入すると
である.両辺をで偏微分すると
0
となるので,を得る.
例 2.155 (陰関数) 条件で定義される陰関数
の 導関数を求める.条件
の両辺を
で微分すると
となるので,
を得る.
例 2.156 (陰関数)平面内の円
を考える. このとき,
は
の関数
とみなされる. これを陽に書くと
となる.これは価関数である. 多価関数のままでは取り扱いに面倒が多い.
を陰関数として取り扱い導関数を求める. 条件
に
を代入すると
である.両辺をで微分すると
となり,
を得る. さらに微分すると 2 階導関数と 3 階導関数は
となる.は 2 価関数であるから
,
,
も 2 価関数である.
次に,円
上の 点
において, 関数
を点
まわりで テイラー展開する.
,
であることに 注意すると
となるので,テイラー展開は
と得られる.
例 2.157 (陰関数) 条件
により定義される陰関数を考える.
は陽に書くと, 2 次方程式
を解いて,
と表される. しかし,この形では取り扱いが面倒であるから, 陰関数として取り扱う. 導関数は
を用いて,
と求まる.
例 2.158 (陰関数) 条件で定義される陰関数
を考える. 条件
の両辺を
で微分すると
☆
となる.よって
を得る.(☆)をさらにで微分すると
0
となる.両辺にを掛けてまとめると
0
となる.また条件よりであることを用いると
を得る.曲線
上の点
において,関数
を
の まわりでテイラー展開する.
であることを用いて
であるから,
と得られる.
問 2.159 (陰関数) 次の条件で定義される陰関数の導関数を求めよ.
(1)
(2)
(3)
Kondo Koichi
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平成19年1月23日