1.11 内積
定義 1.57 (内積),
に対して
(64)
なる二項演算を内積(inner product)または スカラー積(scalar product)という. また,に対しては
(65)
と定義する.
定義 1.58 (複素数) 複素数(complex number)とは, 実数に対して
で定まる数である. ただし
は
をみたし, 虚数単位(imaginary unit)と呼ぶ.
を実部(real part)といい
と表す.
を虚部(imaginary part)といい
と表す. 虚部が
のとき
は実数(real number)といい, 実部が
のとき
は 純虚数(pure imaginary number)という. 複素数全体の集合を
と表す. 実部
を横軸に虚部
を縦軸にとることできる 集合
の平面を複素平面(complex plane)と呼ぶ. 複素平面の横軸を実軸(real axis)といい, 縦軸を虚軸(imaginary axis)という. また,複素数
に対して複素数
を
の複素共役(complex conjugate)という. 実数
を
の絶対値(absolute value) または大きさ(modulus)という. 実数
を
の 偏角(argument)という.
は複素平面上で原点 0 と
との距離を表し,
は点 0,
を通る直線と実軸とのなす角を表す.
定理 1.59 (複素数の性質) 複素数に対して次の性質が成り立つ:
(i)(ii)
(iii)
(iv)
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(v)(vi)
(vii)
(viii)
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は実数
(ix)![]()
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は純虚数
例 1.60 (内積の具体例) ベクトル
(66)
の内積は
(67)
である.
例 1.61 (内積の具体例) ベクトル
(68)
の内積は
(69)
である.
例 1.62 (内積の具体例) ベクトル
(70)
の内積は
(71)
である.
定理 1.63 (内積の性質)
- (i)
(結合則)
- (ii)
(分配則)
- (iii)
(スカラー倍の結合則)
- (iv)
(交換則)
- (v)
のとき
(内積の非負性)
問 1.64 (内積の性質) これを示せ.
Kondo Koichi
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KONDO Koichi
平成19年1月25日