1.9 $ \mathbb{R}^3$ における直線の方程式

注意 1.41 ( $ \mathbb{R}^{3}$ の直線の方程式)   直線 $ \vec{x}=\vec{x}_0+t\vec{p}\in\mathbb{R}^3$ を考える. ここで

$\displaystyle \vec{x}= \begin{bmatrix}x \\ y \\ z \end{bmatrix}\,,\quad \vec{x}...
...\ z_{0} \end{bmatrix}\,,\quad \vec{p}= \begin{bmatrix}a \\ b \\ c \end{bmatrix}$ (58)

とおく. $ \vec{x}$ は点 $ Q(x_{0},y_{0},z_{0})$ を通り 方向ベクトルが $ \vec{p}$ の直線である. 成分をまとめて書くと

$\displaystyle \begin{bmatrix}x \\ y \\ z \end{bmatrix}= \begin{bmatrix}x_{0} \\...
... c \end{bmatrix}= \begin{bmatrix}x_{0}+at \\ y_{0}+bt \\ z_{0}+ct \end{bmatrix}$ (59)

である. これを 直線の方程式のパラメータ表示と呼ぶことにする. また, $ t$ についてまとめると 直線の方程式は

$\displaystyle \frac{x-x_0}{a}=\frac{y-y_0}{b}=\frac{z-z_0}{c}=t$ (60)

と表される. これを $ \mathbb{R}^{3}$ の直線の方程式の成分表示 と呼ぶことにする.

注意 1.42 (直線の方程式の成分表示)   直線の方程式

$\displaystyle \frac{x-x_0}{a}=\frac{y-y_0}{b}=\frac{z-z_0}{c}$ (61)

$ 3$ 変数$ 2$の 連立方程式であることに注意する.

1.43 (直線の方程式の成分表示)   $ \mathbb{R}^n$ の直線の方程式の成分表示を求めよ.

1.44 ( $ \mathbb{R}^{3}$ の直線の方程式の具体例)   点 $ A(1,2,-1)$, $ B(-1,3,-2)$ を通る直線の方程式を考える. 直線は点 $ A$ を通り,方向ベクトルは $ \overrightarrow{AB}$ である. すなわち,

$\displaystyle \vec{x}_0=\overrightarrow{OA}= \begin{bmatrix}1 \\ 2 \\ -1 \end{b...
...{bmatrix}1 \\ 2 \\ -1 \end{bmatrix}= \begin{bmatrix}-2 \\ 1 \\ -1 \end{bmatrix}$ (62)

とおく. 直線の方程式のパラメータ表示は

$\displaystyle \vec{x}=\vec{x}_0+t\vec{p}= \begin{bmatrix}1 \\ 2 \\ -1 \end{bmat...
...x}-2 \\ 1 \\ -1 \end{bmatrix}= \begin{bmatrix}1-2t \\ 2+t \\ -1-t \end{bmatrix}$ (63)

である.$ t$ を消去して 直線の方程式の成分表示は

$\displaystyle \frac{x-1}{-2}= \frac{y-2}{1}= \frac{z+1}{-1}$ (64)

である. この方程式は 3 元 2 連立の方程式であることに注意する. 例えば第 1, 2 式と第 2, 3 式の組で連立を組むと

$\displaystyle \left\{ \begin{array}{l} x+2y-5=0 \\ -y-z+1=0 \end{array} \right.$    

となる.

1.45 ( $ \mathbb{R}^{3}$ の直線の方程式の具体例)   2 点 $ A(1,1,-2)$, $ B(3,0,1)$ を通る $ xyz$ 空間内の直線を考える. この直線の方向ベクトルは

$\displaystyle \vec{p}=\overrightarrow{AB}= \overrightarrow{OB}-\overrightarrow{...
...{bmatrix}1 \\ 1 \\ -2 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix}2 \\ -1 \\ 3 \end{bmatrix}$    

である.直線のパラメータ表示は

$\displaystyle \vec{x}(t)= \begin{bmatrix}x(t) \\ y(t) \\ z(t) \end{bmatrix} = \...
...}2 \\ -1 \\ 3 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix}1+2t \\ 1-t \\ -2+3t \end{bmatrix}$    

となる. $ x=1+2t$, $ y=1-t$, $ z=-2+3t$$ t$ を消去すると, 直線の方程式

$\displaystyle \frac{x-1}{2}= \frac{y-1}{-1}= \frac{z+2}{3}$    

を得る. この方程式は 3 元 2 連立の方程式であることに注意する. 例えば第 1, 2 式と第 2, 3 式の組で連立を組むと

$\displaystyle \left\{ \begin{array}{l} -x-2y+3=0 \\ 3y+z-1=0 \end{array} \right.$    

となる.


平成20年2月2日