1.34 点の平面への正射影

定義 1.165 (点の平面への正射影)   $ \mathbb{R}^{n}$ 空間内の点 $ A$ と平面を考える. 点 $ A$ から平面へ垂線を下ろしたときの足 $ B$正射影という. 点 $ A$ から点 $ B$ への変換を射影変換という.

注意 1.166 (点の平面への正射影)   点 $ A(\vec{x}_{0})$ から平面

$\displaystyle \vec{n}\cdot(\vec{x}-\vec{q})=0$ (224)

への正射影 $ B(\vec{x}_{1})$ を考える. 点 $ A$ から平面への垂線は平面と直交する. よって垂線の方向ベクトルと平面の法線ベクトル $ \vec{n}$ は等しい. 垂線は点 $ A(\vec{x}_{0})$ を通り 方向ベクトルが $ \vec{n}$ であるので, 垂線の方程式は

$\displaystyle \vec{x}(t)=\vec{x}_{0}+t\vec{n}$ (225)

と表される. 垂線と平面の交点が正射影 $ B(\vec{x}_{1})$ である. 交点 $ \vec{x}_{1}$ を求める. 垂線の方程式を平面の方程式に代入すると

$\displaystyle \vec{n}\cdot(\vec{x}_{0}+t\vec{n}-\vec{q})=0$ (226)

であり,$ t$ についてまとめると

$\displaystyle t=t^{*}= -\frac{\vec{n}\cdot(\vec{x}_{0}-\vec{q})}{\vec{n}\cdot\vec{n}}= -\frac{\vec{n}\cdot(\vec{x}_{0}-\vec{q})}{\Vert\vec{n}\Vert^2}$ (227)

が成り立つ. これを垂線の方程式に代入し,交点

$\displaystyle \vec{x}_{1}=\vec{x}(t^{*})= \vec{x}_{0}- \frac{\vec{n}\cdot(\vec{x}_{0}-\vec{q})}{\Vert\vec{n}\Vert^2}\vec{n}$ (228)

を得る.

1.167 (点の平面への正射影)   点 $ A(1,-2,4)$ の平面 $ 2x+3y-z+1=0$ への正射影 $ B$を考える. 平面の法線ベクトルは $ \vec{n}=\begin{bmatrix}{2}\\ [-.5ex]{3}\\ [-.5ex]{-1}\end{bmatrix}$ であるから, 点 $ A$ を通り平面に垂直な直線の方程式は

$\displaystyle \frac{x-1}{2}= \frac{y+2}{3}= \frac{z-4}{-1}=t$ (229)

となる. パラメータ表示すると

$\displaystyle x=2t+1\,,\quad y=3t-2\,,\quad z=-t+4$ (230)

である. これを平面の方程式に代入すると

$\displaystyle 2(2t+1)+3(3t-2)-(-t+4)+1=0$ (231)

より $ t=1/2$ を得る. これを垂線の方程式に代入すると

$\displaystyle x=2\frac{1}{2}+1=2\,,\quad y=3\frac{1}{2}-2=-\frac{1}{2}\,,\quad z=-\frac{1}{2}+4=\frac{7}{2}$ (232)

であり,正射影 $ B(2,-1/2,7/2)$ を得る.


平成20年2月2日