1.3 ベクトルの演算

定義 1.13 (ベクトルの和)   ベクトル $ \vec{a}$, $ \vec{b}$, $ \vec{c}\in\mathbb{R}^{n}$ に対して, ベクトルの和(vector sum)

$\displaystyle \vec{c}=\vec{a}+\vec{b}= \begin{bmatrix}a_{1} \\ a_{2} \\ \vdots ...
...begin{bmatrix}a_{1}+b_{1} \\ a_{2}+b_{2} \\ \vdots \\ a_{n}+b_{n} \end{bmatrix}$ (8)

と定義する.

定義 1.14 (ベクトルのスカラー倍)   ベクトル $ \vec{a}$, $ \vec{b}\in\mathbb{R}^n$ と スカラー $ \alpha\in\mathbb{R}$ に対して, ベクトルのスカラー倍(scalar multiple)

$\displaystyle \vec{b}=\alpha\vec{a}= \alpha \begin{bmatrix}a_{1} \\ a_{2} \\ \v...
...in{bmatrix}\alpha a_{1} \\ \alpha a_{2} \\ \vdots \\ \alpha a_{n} \end{bmatrix}$ (9)

と定義する.

注意 1.15 (ベクトルの和)   ベクトル $ \vec{a}$, $ \vec{b}$ とそれらの和 $ \vec{a}+\vec{b}$ を 考える. このとき, 点 $ O$, $ A(\vec{a})$, $ B(\vec{b})$, $ C(\vec{a}+\vec{b})$ は 平行四辺形となる.

注意 1.16 (ベクトルのスカラー倍)   ベクトル $ \vec{a}$ とそのスカラー倍 $ \vec{b}=\alpha\vec{a}$ を 考える. 点 $ A(\vec{a})$, $ B(\vec{b})$ とする. このとき点 $ B$ は直線 $ OA$ 上にある. 線分 $ \overline{OB}$ の長さは 線分 $ \overline{OA}$ の長さの $ \alpha$ 倍である.

1.17 (ベクトルの和の具体例)  

$\displaystyle \vec{a}= \begin{bmatrix}1 \\ 0 \\ 2 \end{bmatrix}\,,\quad \vec{b}= \begin{bmatrix}2 \\ -1 \\ -3 \end{bmatrix} \in\mathbb{R}^3$ (10)

のとき,これらの和は

$\displaystyle \vec{a}+\vec{b}= \begin{bmatrix}1 \\ 0 \\ 2 \end{bmatrix}+ \begin...
...rix}1+2 \\ 0-1 \\ 2-3 \end{bmatrix}= \begin{bmatrix}3 \\ -1 \\ -1 \end{bmatrix}$ (11)

である.

1.18 (ベクトルのスカラー倍の具体例)  

$\displaystyle \vec{a}= \begin{bmatrix}1 \\ 0 \\ 2 \end{bmatrix} \in\mathbb{R}^3$ (12)

のとき, $ \vec{a}$$ 2$ 倍は

$\displaystyle 2\vec{a}= 2 \begin{bmatrix}1 \\ 0 \\ 2 \end{bmatrix}= \begin{bmat...
...\\ 2\times0 \\ 2\times2 \end{bmatrix}= \begin{bmatrix}2 \\ 0 \\ 4 \end{bmatrix}$ (13)

である.


平成20年2月2日