定理 4.92 (行列式と行列の正則性)
正方行列

に対して,

のとき

は正則である.
(証明)
定理
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(765) |
であるから,

とすると各辺を

で割って
 |
(766) |
が成り立つ.よって

は

の逆行列であり,

は正則である.
定理 4.93 (余因子行列と逆行列)
正方行列

に対して,

のとき

の逆行列は
 |
 |
(767) |
で与えられる.
定理 4.94 (逆行列が存在するための十分条件)
正方行列

,

に対して

(または

)が成立するとき,

は

の逆行列となる.
(証明)
より,両辺の行列式をとると
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(768) |
が成り立つ.
これより

を得る.
よって,

のとき

は正則であるから,
逆行列

をもつ.
さらに

が存在することを用いると
 |
(769) |
が成り立つ.

が示された.
例 4.95 (余因子行列による逆行列の計算の具体例)

のとき逆行列は
である.

のとき逆行列は
である.
例 4.96 (余因子行列による逆行列の計算例)
行列
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(774) |
の逆行列を求める.
行列式は
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(775) |
であるから,
逆行列は
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(776) |
で与えられる.
例 4.97 (余因子行列による逆行列の計算例)
行列
 |
(777) |
の逆行列を求める.
小行列の行列式は
であり,行列式は
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(781) |
であるので,
逆行列は
と与えられる.
平成20年2月2日