6.4 2 次曲線の標準形
定理 6.9 (2 次曲線の標準形) 原点を中心とする有心 2 次曲線
は回転変換で標準形
に写される.
(証明) 2 次曲線
の係数 は対称行列なので直交行列 により対角化される. すなわち,
が成り立つ. これより,
であることを用いると,
となる. ただし, , , とおく.
定理 6.10 ( 2 次曲線の分類) 2 次曲線 は のとき楕円形であり, のとき双曲形であり, のとき放物形である.
(証明)
と
より分類される.
例 6.11 ( 2 次曲線のグラフの具体例) 2 次曲線
のグラフを描く. まず,
より, は双曲形である. 次に を直交行列 で対角化すると,
である. より
と標準形を得る. ただし, とおく. よって 軸の 2 次曲線は双曲線
となる. より 軸では 回転したグラフである.
(a) 座標 (b) 座標
例 6.12 ( 2 次曲線のグラフの具体例) 2 次曲線
☆
のグラフを描く. まず,
より, は楕円形である. 有心であるから中心 を求める. , とおき平行移動する. へ代入すると,
となる. , の項が消えるとき, 原点が中心となるので,, は 連立方程式
をみたさなければならない. この方程式は とも書けるので, 中心 の位置ベクトルは
と得られる. あらためて
とおき, 座標 について書き直すと,
と表される. 次に行列 の固有値は であり, 直交行列 で対角化すると,
である. ここで, , より, である. より は負の方向に より少し大きく回転させる. より
と標準形が得られる. ここで とおいた. 軸平面では 2 次曲線は
となる. これは中心が原点の楕円形である. この曲線を 軸平面に戻す. であるから, 時計回りに角 の回転させたグラフを 軸平面に描く. さらに平行移動 より, 楕円の中心が となるように 軸平面にグラフを描く.
(a) 座標 (b) 座標 (c) 座標
例 6.13 (放物形) 2 次曲線
のグラフを書く. まず,
とおく. より は放物形である. は無心曲線であるから中心はない. を対角化すると,
となる. を に代入すると
となる. ここで , とおいた.
より,2 次曲線は
となる. 書き直すと
となる. これは頂点が の放物線である. また,この放物線は 直線 に線対称であり, 直線 に接している. を用いて 回転すると に関する曲線に戻る. 頂点は
より となる. また, より, を に代入すると, となる. に を代入すると, となる. よって は 頂点が の放物形で, 直線 , を軸とする放物線である.
平成20年2月2日