4.14 直交行列

定義 4.64 (直交行列)   行列 $ A\in\mathbb{R}^{n\times n}$

$\displaystyle A{A}^{T}={A}^{T}A=E$    

をみたすとき $ A$直交行列(orthogonal matrix)という.

定理 4.65 (直交行列の行列式)   直交行列の行列式は

$\displaystyle \det(A)=\pm 1$    

である.


(証明)     $ A{A}^{T}=E$ より,両辺の行列式をとると

$\displaystyle \det(A{A}^{T})=\det(A)\det({A}^{T})=(\det(A))^2=\det(E)=1$    

となるので $ \det(A)=\pm1$ を得る.

定理 4.66 (直交行列の正則性)   直交行列は正則である.


(証明)     $ \det(A)=\pm1\ne0$ であるから.

定理 4.67 (直交行列の逆行列)   直交行列の逆行列は

$\displaystyle A^{-1}$ $\displaystyle ={A}^{T}$    

であり,$ A^{-1}$ もまた直交行列である.


(証明)     $ A$ は正則であるか $ A^{-1}$ $ A{A}^{T}=E$ に左から掛けると

$\displaystyle A^{-1}A{A}^{T}=A^{-1}E \quad\Rightarrow\quad {A}^{T}=A^{-1}$    

を得る.

定理 4.68 (直交行列の積)   直交行列の積もまた直交行列である.


(証明)     $ A$, $ B$ を直交行列として,

$\displaystyle AB{(AB)}^{T}=A(B{B}^{T}){A}^{T}=AEA{A}^{T}=A{A}^{T}=E.$    


平成20年2月2日