4.17 直交変換と直交行列

定理 4.81 (直交変換と直交行列)   線形変換 $ f:V\to V$ が 直交変換であることと, $ f$ の表現行列が直交行列であることとは, 必要十分条件である.


(証明)     (必要条件) $ \{\vec{u}_1$, $ \cdots$, $ \vec{u}_n\}$$ V$ の正規直交基底とする. $ f$ が直交変換であるとき, $ \{f(\vec{u}_1)$, $ \cdots$, $ f(\vec{u}_n)\}$ も 正規直交基底となる. また, 正規直交基底 $ \{\vec{u}_1$, $ \cdots$, $ \vec{u}_n\}$ から 正規直交基底 $ \{f(\vec{u}_1)$, $ \cdots$, $ f(\vec{u}_n)\}$ への 基底の変換行列 $ A$ は直交行列であり,

$\displaystyle \left(f(\vec{u}_1),\,\, \cdots,\,\, f(\vec{u}_n)\right)= \left(\vec{u}_1,\,\, \cdots,\,\, \vec{u}_n\right)A$    

をみたす. この式より $ A$$ f$ の表現行列ともみなせる. よって直交変換 $ f$ の表現行列 $ A$ は直交行列である. (十分条件) $ A$ を直交行列とする.

$\displaystyle \vec{y}=A\vec{x}, \quad \vec{y}'=A\vec{x}$    

とおく.このとき

$\displaystyle \left({f(\vec{x})}\,,\,{f(\vec{x}')}\right)$ $\displaystyle = \left({A\vec{x}}\,,\,{A\vec{x}'}\right)= {(A\vec{x})}^{T}A\vec{...
...{A}^{T}A)\vec{x}'= {\vec{x}}^{T}E\vec{x}= \left({\vec{x}}\,,\,{\vec{x}'}\right)$    

をみたす.よって $ f$ は直交変換である.




平成20年2月2日