6.30 コーシーの主値積分
例 6.155 (極限は多価となる計算例) 広義積分では極限 , を独立に行う. いま, () と条件を課して極限をとることにする. つまり,定積分
において とおき, の極限をとる. 積分は
となる. (i) のとき積分は と有限確定する. (ii) のとき積分は と無限確定する. (iii) のとき積分は と無限確定する. このように極限の取方により積分は様々な値をとる. 広義積分では極限の取り方によらず,値が一定のときのみ収束したとみなす. この積分の場合は多価となるので,広義積分の意味では発散である.
定義 6.156 (コーシーの主値積分) 関数 が で不連続で, 有限区間 で連続なとき,
v.p.
を におけるコーシーの主値積分(Cauchy's principal values of integral)という. また関数 が無限区間 で連続なとき,
v.p.
を におけるコーシーの主値積分という. 主値積分はまた
とも表記する.
例 6.157 (広義積分での計算例)
存在しない
例 6.158 (コーシーの主値積分での計算例)
v.p. 有限確定
例 6.159 (広義積分での計算例)
:存在しない
例 6.160 (コーシーの主値積分での計算例)
v.p. 有限確定
例 6.161 (広義積分での計算例)
:無限確定
例 6.162 (コーシーの主値積分での計算例)
v.p. 無限確定
例 6.163 (広義積分での計算例)
:有限確定
例 6.164 (コーシーの主値積分での計算例)
v.p. 有限確定
例 6.165 (無限区間での広義積分の具体例)
例 6.166 (コーシーの主値積分の計算例)
v.p.
平成21年6月1日