2.6 偏微分
定義 2.25 (偏微分,偏微分係数) 関数の点
において, 極限
が存在するとき, 関数は 点
において,
または
に関して 偏微分可能(partial differentiable) であるという. この極限を 偏微分係数(partial differential coefficient)という.
定義 2.26 (偏動関数) 定義内の任意の点
に対して極限
が存在するとき, これらを偏導関数(partial derivative)という. 偏導関数を求める操作を偏微分するという.
注意 2.27 (偏微分の記号) 関数の偏導関数は
と表記する.
注意 2.28 (偏微分) 関数のグラフは
空間内の曲面となる. このグラフと平面
との共有点のグラフは
で与えられる曲線となる. このとき関数
は
についての 1 変数関数であるから,
について微分すれば曲線
の 傾き
が得られる.
同様にしてグラフ
と平面
との共有点の曲線
は,
についての 1 変数関数であるから,
について微分すれば曲線
の傾き
が得られる.
注意 2.29 (偏微分)に関する偏微分の定義式において,
は定数と考えて
方向の極限のみを考えている. 同様にして,
に関する偏微分の定義式は,
は定数と考えて
方向の極限のみを考えている. このとき定義式は
と
についての 1 変数関数の微分とそれぞれ等価となる. よって,ひとつの独立変数を除いて他のすべての独立変数を 定数と考えて 1 変数関数の微分をすればよい.
例 2.30 (偏微分) 関数
をで偏微分すると,
となり,に関する偏導関数が得られる.
で偏微分すると,
となり,に関する偏導関数が得られる.
例 2.31 (偏微分係数) 関数の点
における偏微分係数は
となる.
例 2.32 (偏微分) 関数の 偏導関数は,
となる.
平成21年1月14日