例 5.16 (線形変換の固有空間の具体例)
線形変換
;
の固有空間を求める.
ただし,
とする.
まず,固有多項式は
である.よって
より
固有値は
である.
固有ベクトルをそれぞれ求める.
のとき
より
方程式
をみたす を求める.
行列 を簡約化すると
となる.これより
であるから解は
となる.ただし
は任意定数である.
よって
に属する固有ベクトルは
(
) である.
また,固有空間は固有ベクトル全体の集合に
を
加えたものであるから,
となる.
のとき
より
方程式
をみたす を求める.
行列 を簡約化すると
となる.これより
であるから解は
となる.ただし
は任意定数である.
よって
に属する固有ベクトルは
(
) である.
また,固有空間は固有ベクトル全体の集合に
を
加えたものであるから,
となる.
固有空間 の基底は
であり
となる.
固有空間 の基底は
であり
となる.
また,
より
は 1 次独立であるから,
となる.よって,
が成り立つ.
は
と
に直和分解される.
は
の基底となる.
標準基底
に関する の
表現行列は である.
基底
に関する の
表現行列を求める.
, の座標を
,
とすると,
と座標変換が得られる.
これを用いて,
線形変換
を座標変換すると
と表される.
よって,基底
に関する
の表現行列は
となる.
あらたな座標
のもとでの
は
より
と表される.
また,これは次のようにも示される.
を
で変換すると
となる.
より,
,
を得る.