5.19 ちょっとまとめ

注意 5.55 (複素体上の対角化)   複素数体上の場合でも対角化の手順は同じである. 行列 $ A$ の固有値が $ \lambda_1,\cdots,\lambda_n\in\mathbb{C}$ であり, 固有ベクトルが $ \vec{p}_1,\cdots,\vec{p}_n\in\mathbb{C}^n$ のとき, $ \vec{p}_1,\cdots,\vec{p}_n$ が 1 次独立であれば,

$\displaystyle D=P^{-1}AP, \qquad D=\mathrm{diag}\,(\lambda_1,\cdots,\lambda_n), \quad P= \begin{bmatrix}\vec{p}_1 & \cdots & \vec{p}_n \end{bmatrix}$    

と対角化可能である.

まとめ 5.56 (対角化)   $ n$ 次正方行列 $ A$ の固有値を重複は別のものとして $ \lambda_1,\lambda_2,\cdots,\lambda_n$ とする. この固有値に属する固有ベクトルをそれぞれ $ \vec{p}_1,\vec{p}_2,\cdots,\vec{p}_n$ とする. また,重複する固有値を同じものとして $ \tilde{\lambda}_1,\tilde{\lambda}_2,\cdots,\tilde{\lambda}_r$ ($ r\leq n$) とする. $ f$ は線形変換 $ f:\mathbb{R}^n\to\mathbb{R}^n;\vec{y}=A\vec{x}$ とする.
(1)
$ \vec{p}_1,\vec{p}_2,\cdots,\vec{p}_n$ が 1 次独立のとき. すなわち, $ \displaystyle{\sum_{i=1}^{r}\dim(W(\tilde{\lambda}_i;f))=n}$ のとき.
(i)
$ \lambda_1,\lambda_2,\cdots,\lambda_n\in\mathbb{R}$ のとき.
(a)
実数体上で対角化可能である.
(ii)
$ \lambda_1,\lambda_2,\cdots,\lambda_n\in\mathbb{C}$ のとき.
(b)
複素数体上で対角化可能である.
(c)
実数体上では対角化不可能である. しかし,実標準形には分解可能である.
(2)
$ \vec{p}_1,\vec{p}_2,\cdots,\vec{p}_n$ が 1 次従属のとき. すなわち, $ \displaystyle{\sum_{i=1}^{r}\dim(W(\tilde{\lambda}_i;f))<n}$ のとき.
(d)
行列 $ A$ は対角化不可能である. しかし,ジョルダン標準形には分解可能である.




平成20年2月2日