3.5 部分空間

定義 3.23 (部分空間)   ベクトル空間 $ V$ の部分集合 $ W$ が, $ V$ と同じ和とスカラー倍の定義で, ベクトル空間となるとき, $ W$$ V$部分空間(subspace)という.

定理 3.24 (部分空間)   $ V$ の部分集合 $ W$$ V$ の部分空間となるための 必用十分条件は次の(i)-(iii)をみたすことである.
(i).
$ \vec{0}_V\in W$.
(ii).
$ \forall\vec{u},\vec{v}\in W
\quad\Rightarrow\quad
\vec{u}+\vec{v}\in W$.
(iii).
$ \forall\vec{u}\in W,\quad
\forall c\in\mathbb{R}
\quad\Rightarrow\quad
c\vec{u}\in W$.


(証明)     (必用条件) $ W$ が部分空間であれば,ベクトル空間の条件(i)-(viii)をみたす. このとき条件(i)-(iii)をみたすのは明らか. (十分条件) $ W$ が条件(i)をみたすとき,ベクトル空間の条件(iii)をみたす. 条件(ii)をみたすとき,ベクトル空間の条件(i)-(ii)をみたす. 条件(iii)をみたすとき,ベクトル空間の条件(iv)-(viii)をみたす.

定理 3.25 (部分空間)   次の条件(☆)は $ V$ の部分集合 $ W$$ V$ の部分空間となるための 必用十分条件である.

$\displaystyle ($$\displaystyle )\qquad \forall\vec{u},\vec{v}\in W, \quad \forall\alpha,\beta\in\mathbb{R} \qquad\Rightarrow\qquad \alpha\vec{u}+\beta\vec{v}\in W$    


(証明)     $ \alpha=\beta=0$ のとき条件(i)と等価である. $ \alpha=\beta=1$ のとき条件(ii)と等価である. $ \beta=0$ のとき条件(iii)と等価である.

注意 3.26 (部分空間と零ベクトル)   部分空間 $ W$ は零ベクトル $ \vec{0}$ を含む. なぜなら, 部分空間の必用十分条件(☆)で $ \alpha=\beta=0$ とおくと

$\displaystyle 0\vec{a}+0\vec{b}=\vec{0}\in W$    

となるからである.




平成20年2月2日