3.15 ベトクルの 1 次独立の性質 〜 その 2
定理 3.67 (ベトクルの 1 次独立の性質) ベクトル , , , の 各ベクトルが の 1 次結合で表され, かつ, であるとき, は 1 次従属である.
(証明) ベクトル は の 1 次結合で表されるので,
と書ける. の 1 次関係は
となる. ここで とおいた. このとき を に関する方程式であると考える. より となるので, 方程式の解は 個以上の任意定数を含む. よって非自明解をもつので, は 非自明な 1 次関係の係数 をもつ.
例 3.68 (ベトクルの 1 次独立の性質) ベクトル
は基本ベクトル , を用いると
か書けるので,
となる. の 1 次関係は
☆
となる. ここで とおいた. これは に関する方程式となみせる. (☆)は , の 1 次関係ともみなせる. , は 1 次独立であるから, 自明な係数 のみをもつ. よって となる. より解の任意定数の個数は となる. 以上より は非自明な解となるから, は非自明な係数 をもつ. よって, は 1 次従属である.
注意 3.69 (ベトクルの 1 次独立の性質) ベクトル空間 の 個のベクトル , , , は, のとき 1 次従属である.
定理 3.70 (ベトクルの 1 次独立の性質) ベクトル , , , と 行列 に対して, 次の条件(i), (ii)が成り立つとき, が成り立つ.
- (i).
- , , , は 1 次独立.
- (ii).
- .
(証明)
より,
となる. それぞれが の 1 次関係である. は 1 次独立であるので, 係数は自明なもののみに限る. よって となり, を得る.
注意 3.71 ( 1 次関係) 特に とおく. このとき
となり, の 1 次関係を得る. が 1 次独立であれば, となる.
定理 3.72 (ベトクルの 1 次独立の性質) ベクトル , , , が 1 次独立であれば,
のとき, が成立する.
(証明)
例 3.73 (ベトクルの 1 次独立の性質) ベクトル , , , は 1 次独立であり, ベクトル , , , は
により与えられているとする. このとき,
となる. の 1 次関係は
である. ここで とおいた. これは の 1 次関係ともみなせる. は 1 次独立であるから, 自明な係数 のみをもつ. よって が成り立つ. を簡約化すると であり, より, 解は自明な解 に限る. 以上より は自明な係数 のみをもつので,1 次独立である.
例 3.74 (ベトクルの 1 次独立の性質) ベクトル , , , は 1 次独立であり, ベクトル , , , は
により与えられているとする. このとき,
となる. の 1 次関係は
である. ここで とおいた. これは の 1 次関係ともみなせる. は 1 次独立であるから, 自明な係数 のみをもつ. よって が成り立つ. を簡約化すると
であり, より, 解は非自明な解
をもつ. よって の 1 次関係は
となる. 非自明な 1 次関係であるから, は 1 次従属である.
平成20年2月2日