3.17 1 次独立なベクトルの最大個数
定義 3.82 (ベクトルの 1 次独立な最大個数) ベクトルの集合 が, ある 個のベクトルでは 1 次独立となり, 任意の 個のベクトルでは 1 次従属となるとき, を集合 の 1 次独立なベクトルの最大個数という.
定理 3.83 (ベクトルの 1 次独立な最大個数) ベクトルの集合 , , , , , , , において, , , の各ベクトルが , , の 1 次結合で表されるとき, ,, の 1 次独立なベクトルの最大個数は ,, の 1 次独立なベクトルの最大個数以下となる.
(証明) , , の各ベクトルは , , の 1 次結合で表されるので
であり,
と書ける. , , の 1 次独立のベクトルの最大個数を とする. , , が 1 次独立であるとすると, その他のベクトル , , は , , の 1 次結合で表される. よって
と表される. このとき
となる. これより
を得る.よって
となる. , , の 各ベクトルは 個のベクトル , , の 1 次結合で表される. このとき , , のうち 任意の 個のベクトルは 1 次従属であるので, 1 次独立の最大個数は 個以下となる.
例 3.84 (ベクトルの 1 次独立な最大個数の具体例) の 1 次独立なベクトルの最大個数は である.
(証明) のときを考える. まず明らかに は 1 次独立であるので, 1 次独立なベクトルの最大個数は 2 以上である. ここで,3 個のベクトル
を 1 次独立と仮定する. このとき 1 次関係
を考える. これより
となる. 係数行列の階数は 以下であるから は任意定数を含む解であり, 1 次関係は非自明係数となる. よって, は 1 次従属である. 以上より, の 1 次独立なベクトルの最大個数は である. のときも同様に示される.
平成20年2月2日