定理 3.85 (ベクトルの 1 次独立な最大個数)
ベトクルの集合
,
,
,
の 1 次独立なベクトルの最大個数が
であることの必用十分条件は,
,
,
のなかに
個の 1 次独立な
ベクトルがあり,
他の
個のベクトルはこの
個のベクトルの 1 次結合で
表されることである.
(証明)
(必用条件)
, , のうち
1 次独立な 個のベクトルを
, , とする.
このとき , , ,
(
) は 1 次従属であるから,
は
, , の 1 次結合で表される.
(十分条件)
個のベクトル , ,
が 1 次独立であるとする.
, ,
の
1 次独立なベクトルの最大個数は 以上となる.
また,
他の 個のベクトル
, ,
が
, , の 1 次結合で表されるとする.
このとき,
と表されるから,
,
,
の
1 次独立なベクトルの最大個数は
,
,
の
1 次独立なベクトルの最大個数
以下となる.
よって
,
,
の
1 次独立なベクトルの最大個数は
である.
例 3.86 (ベクトルの 1 次独立な最大個数の具体例)
ベクトル
の 1 次独立なベクトルの最大個数と
そのときベクトルの組の一つを求める.
また,その他のベクトルを 1 次独立なベクトルの 1 次結合で表す.
まず,
ベクトル
の 1 次関係
を考える.これは
と表される.
方程式
の解を求めることで,
1 次関係の係数
が定まる.
行列
を簡約化すると
となる.
方程式
の解と
方程式
の解とは等しく
であるから,
ベクトル
の 1 次関係と
ベクトル
の 1 次関係は等しい.
まず,
の
1 次独立なベクトルの最大個数を考える.
に着目すると,
であり,
の基本ベクトルである.
明らかに
ベクトルの組
は 1 次独立であるので,
1 次独立なベクトルの最大個数は
以上である.
他のベクトル
について見ると
|
○ |
|
が成り立つ.
はそれぞれ
に
関して 1 次従属である.
個以上のベクトルの組が 1 次従属となることを示す.
(その 1)
まず, 個の
ベクトルの組
, ,
, ,
に関する 1 次関係は(○)を用いると
となる.
この方程式の係数行列は
そのものであるから,
階数は
であり非自明な係数をもつ.
よって
,
,
,
,
は
1 次従属となる.
次に
個のベクトルの組が 1 次従属となることを示す.
,
,
,
,
の
1 次関係は同様の操作で,
とそれぞれなる.
これらの方程式の係数行列はそれぞれ
行列
の第
,
,
,
,
列目を除いた形をしている.
係数行列の階数はいずれも
以下であるから,
非自明な 1 次関係が存在する.
個のベクトルの組はいずれも 1 次従属となる.
(その 2)
また別の方法としては次のように示す.
方程式
の解は,
任意定数を
,
とすると
|
☆ |
|
と表される.
個のベクトルの組
の 1 次関係は(☆)である.
非自明な 1 次関係であるから
は
1 次従属となる.
また,(○)より
と非自明な 1 次関係が成り立つので,
ベクトルの組
,
は 1 次従属となる.
さらには(☆)において,
,
,
とおくと,
それぞれ
と非自明な 1 次関係が成り立つので,
,
,
は
1 次従属となる.
以上より,ベクトルの組
の
1 次独立なベクトルの最大個数は
である.
これらの結果は
ベクトル
の
1 次関係にも適用される.
1 次独立なベクトルの最大個数は
であり,
その 1 次独立となるベクトルの組のひとつは
である.
また,その他のベクトルはこれらの 1 次結合
として表される.