3.32 解空間
定義 3.129 (解空間) 同次方程式の解の集合
を解空間(solution space)という.
定理 3.130 (解空間と部分空間) 解空間は
の部分空間である.
(証明)
とする. すなわち,
,
は方程式
の解であり,
をみたすとする. このとき,
となるのでもまた解である. よって
となり,
は
の部分空間である.
注意 3.131 (非同次系の解空間) 非同次方程式の 解集合
は
の部分空間ではない. なぜなら,
より 原点
を解にもたない. よって
であり, 部分空間とはならない.
定義 3.132 (一般解) 解空間の基底
を 方程式
の基本解という. このとき
の任意のベクトルは 基本解の線形結合で
と表される. これを方程式の 一般解(general solution)という.
定理 3.133 (解空間の次元) 同次系の解空間の次元は解の任意定数の個数と等しく,
で与えられる.
(証明) 行列
を簡約化して 方程式
の解を
の形で得たとする. ただしとおく. このときベクトルの組
が 1 次独立か調べる. これらの 1 次関係は
となる. 行列は必ず
の形をしているのでが成り立つ. よってベクトルの組
は 1 次独立である. このとき解空間
は
となるのでの基底は
である. よって
となる.
例 3.134 (解空間の具体例) 解空間
を考える. 方程式をとおく.
を簡約化して
となる. これより,方程式は
と書き換わる.より任意定数の個数は
となり, 任意定数を
とおく. よって一般解は
と得られる. ここで,
,
は基本解である. 解空間は
となる.の基底を求める.
が 1 次独立であるか調べる. 1 次関係
は
となる. よって条件をみたすのはのときのみである.
は 1 次独立である.
の基底は
となる. 以上より
を得る. これは解の任意定数の個数と等しい.
平成20年2月2日